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原子力規制委、日本原電の敦賀原発2号機の活断層データ書き換え事件で、同原発の審査中断を決定。「書き換えてはいけないという認識がなかった」と意味不明な言い訳(各紙)

2021-08-18 20:28:03

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 原子力規制委員会は18日、日本原子力発電が敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に向けた審査資料の地質データを無断で書き換えた問題で、信頼性が失われたとして、再稼働の前提となる安全審査の一時的中断を決めた。同審査は敷地内の断層の評価が議論となって長期化しているが、データを書き換えるという意図的な行為で、原電自体への信頼性が失墜している。

 

 各紙の報道によると、敦賀原発2号機の審査では、原子炉建屋直下にある断層の評価が焦点となってきた。規制委の有識者会合では、地震を引き起こす活断層であると評価するのに対し、原電は2015年11月に始まった審査の中で、活断層ではないと主張してきた。

 

 こうしたやりとりの中で、原電は敷地内のボーリング掘削調査による地質の観測記録である「柱状図」の一部を、規制委に無断で書き換えていたことが判明した。同データは、原電の主張の根拠になる資料で、書き換えは、昨年2月に規制委が指摘して発覚した。

 

 原電が書き換えた個所は、合計80カ所に上る。このうち、柱状図の書き換えは25か所で、うち18カ所は原子炉建屋直下の断層の活動性を判断する上で重要な地点で掘削した試料に関するもの蛾大半だった。それらは地層の状態を「未固結」から「固結」に書き換えるなどしていたという。

 

 地層の固結度は、断層の活動性を判断する重要なデータ。断層の活動性を判断するうえで重要とされている。それを元々のデータを別の調査結果に上書きし、断層が動いた可能性を否定するなどしていた。原電は、書き換えは現場の担当者らの判断だとし、「書き換えてはいけないという認識がなかった」と、子供でも使わない「言い訳」をしている。

 

 規制委は、同年10月に原電が評価に必要なデータを改めて提出したことを受け、安全審査の再開を決めていた。しかし、今回の規制委会合で、審査の扱いを議論した結果、原電が適切に資料を作成し、審査に対応できると認めるまで再開しない方針を決めた。

 

 報道によると、規制委の担当者は「原電次第だが、(中断は)年単位にはならない」とみている。「データ書き換え」という原発管理者としての信頼性を揺るがす行為をした原電に「お灸」をすえる判断のようだ。

 

 原電は1966年に日本初の商業炉を稼働させた原発専業の会社。原発で発電した電気を大手電力会社5社に卸売りする役割だが、2011年月の東日本大震災以降、原発を一基も動かせていない。この10年間、役割を果たせないままだが、組織としては、電力会社から得る「基本料金」収入で経営を継続している。

 

 しかし、保有する原発4基のうちすでに2基は廃炉となっている。再稼働に向けた審査を通った東海第二原発(茨城県)は、今年3月、避難計画に不備があるとして周辺住民が起こした訴訟で、水戸地裁から運転差し止めを命じられるなど、組織としての将来展望が不明な状態が続いている。

 

 規制委の更田豊志委員長は18日の会合で、「科学的な作法にのっとってもらわないと話にならない」との見解を示した。他の委員からも「審査資料の品質に疑問を持っていた。審査を続けることは適切でないと思う」との意見が出て、審査の中断を正式に決めた。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210818&ng=DGKKZO74874670Y1A810C2MM0000

https://digital.asahi.com/articles/photo/AS20210818001825.html