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ウクライナの原子力企業、国内最大の原発サイトで原発2基の操業停止。ロシア軍のサイバー攻撃の影響の可能性。チェルノブイリ原発への侵攻に次ぐ原発攻撃か(RIEF)

2022-02-27 14:33:45

Ukrina002キャプチャ
  ウクライナの国営原子力会社のエネルゴアトム(Energoatom)は25日、同社が国内4カ所で操業する原子力発電所のうち、南ウクライナのザポリージャで操業する6基の原発のうち2基の操業を停止すると発表した。同社の原発は、ロシア軍からと思われるサイバー攻撃を受けていると発表していた。今回の2基の操業停止が、同攻撃による影響かどうかは現時点では明らかに説明はされていない。同国には他の3カ所にまだ9基の原発があるが、現時点ではそれらは稼働しているという。

 エネルゴアトムは国営企業で、同国内4カ所(フメリヌィーツィクィイ、 リヴネ、南ウクライナ、ザポリージャ)の原発サイトに合計15基を運営している。キエフの西部に位置するザポーリジャはその中でも最も大きなサイトで、6基の原発を抱えている。このうち、今回、第5、第6基の操業を停止する。
赤●がザポリージャ
赤●がザポリージャ

 

  同社によると、第5原発は24日の夜に操業を停止し、第6原発は25日朝に同様の措置を取ったとしている。他の4基は操業を継続しているほか、他の3カ所の原発も同様に通常の操業を継続しているとしている。

 

ウクライナのエネルゴアトムの本社
ウクライナのエネルゴアトムの本社

 

 ロシア軍は首都キエフの北部にある旧ソ連の事故原発のチェルノブイリ原発に侵攻し、同地を占拠している。ロシア軍の行動の影響で同原発周辺では、放射線量が急上昇していることがわかった。24日時点で、地域によって従来の線量の20倍以上に上昇していることが確認されている。https://rief-jp.org/ct13/122793
 エネルゴアトムが管理するザポリージャを含めた、同国の稼働中の原発には今のところロシア軍の侵犯はみられていない。しかし、同社によると、これらの原発に対しては、ロシアからと思われるサイバー攻撃が続いているという。このため、同社は25日、エネルギー相のHerman Galushchenko氏を含めた主要メンバーを集めた緊急会合を開いている。
 報道によると、同会議後、Galushchenko氏は「われわれの最大の責務は、これらの原発で働くエネルギー労働者の安全を確保し、持続可能な操業を維持することだ。サイバー攻撃自体は一般的にはそれほど重要ではないが、原発のような重要なインフレの場合、極めて深刻だ」と指摘している。そのうえで、「現在はすべての攻撃をはねつけており、どの攻撃も成功しない」と強調した。ただ、ザポリージャの2基閉鎖が、サイバー攻撃による影響かどうかは言明していない。

 エネルゴアトムはロシア軍の侵犯に備えて、原発サイト全体で、ウラン燃料の管理を含めて、原子炉全体の安全性を強化する追加的な安全措置を講じていると説明している。

 ザポリージャの原発は、全体で5700 MWの発電量を誇り、同国の電力供給のほぼ半分を占めている。原子炉はロシア製のVVER(加圧水型)。2014年12月に、原発の電子回路の事故を引き起こし、6基中1基が2度にわたって発電停止になった経緯がある。

 エネルゴアトムはロシア軍の侵犯に備えて、原発サイト全体で、ウラン燃料の管理を含めて、原子炉全体の安全性を強化する追加的な安全措置を講じていると説明している。

https://www.energoatom.com.ua/en/

https://www.nucnet.org/news/nuclear-operator-energoatom-holds-crisis-meeting-says-plants-operating-normally-2-4-2022?fbclid=IwAR25KDE7CGLEhLWJDBO9EqZ0LM9SMekpN0raUyIvccJP6j6-cdiGhUSZYfw