HOME13 原発 |ウクライナ国内の15基の原発、その3分の1が送電停止の状態。サイバー攻撃の影響か、安全対策での対応かは不明。同国の原子力当局は「正常稼働」を強調(RIEF) |

ウクライナ国内の15基の原発、その3分の1が送電停止の状態。サイバー攻撃の影響か、安全対策での対応かは不明。同国の原子力当局は「正常稼働」を強調(RIEF)

2022-03-01 16:07:26

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  ウクライナの原子力規制検査機関(SNRIU)は28日、ロシア軍の侵攻が続くが、国内の4カ所の原発は現在、通常に稼働していると発表した。同国の原発には一時、ロシア軍からのサイバー攻撃にさらされたとの報道があった。最大の原発サイトである南ウクライナのザポリージャ原発で2基が送電停止になった。同日の発表では、全15基の原発中、5基は送電停止の状態になっている。また同日にはロシアで、ザポリージャ原発をロシア軍がコントロール下に置いたとの報道も流れたが、これに対してSNRIUは、同原発は正常運転しているとした。

 (上の図は、ウクライナ国内の原発サイト。原子炉はすべてロシア製)

 SNRIUの28日朝の発表では、15基の原発のうち10基が稼働中だが、3分の1に相当する5基は送電網との接続を止めている状態にある。サイバー攻撃の影響か、住民の避難が続くため、電力需要が低下したことでの対応かは不明。原発サイトの周辺では、放射線の漏洩等は観測されていない。

 27日には首都キエフ近くの放射線廃棄物処理施設にミサイルが着弾した。また北東部の同国第二の都市、ハリコフの近くの同様の処理施設でも、変電設備が損傷した。いずれの事故も、建物等の損害や放射線濃度の上昇等は報告されていない。

 一方、ロシアのメディアは同日、ロシア国防省スポークスマンのIgor Konashenkov少将の発言として、「ロシア軍がザポリージャの原発サイト周辺を完全にコントロールした」との情報を流した。これに対して、原発を運営する国営原子力会社のエネルゴアトム(Energoatom)は同日、声明を発表し、「ロシアの情報はフェイク」と指摘した。

 国際原子力エネルギー機関(IAEA)は、ウクライナ国内の原発の安全性と、安全保障面をモニターしている。27日に発生した2件の原発廃棄物処理場での事故について、事務局長のRafael Mariano Grossi氏は、 「2つの事故は、今回の侵攻で放射性物質を扱う施設が、非常に現実的な危険にさらされていることを示している。両国の軍隊を含めすべての人々に、原発施設の安全性を脅かすような、いかなる軍事行動も禁じられていることを強くアピールしたい」と述べている。

 IAEAは閉鎖中のチェルノブイリ原発の立ち入り禁止地域での放射性線量濃度の急上昇問題にも触れ「ウクライナの規制担当者が、同原発で測定・管理業務を継続しており、放射性物質の外部への影響もない」と説明している。

https://snriu.gov.ua/en/news/february-28-2022

https://snriu.gov.ua/en/news/updated-information-radiation-situation-exclusive-zone