ロシア軍が占拠したウクライナのザポリージャ原発。6基中4基は発電停止。1基は送電、もう1基は使用済み原子炉の冷却及び核燃料プールの電源維持等のため、維持されている模様(更新:RIEF)
2022-03-05 15:31:36
ロシアは4日、ウクライナ最大の原発サイトであるザポリージャ原発を占拠した。同原発は6基の原発を保有するが、そのうち4基は停止されている。1基は送電しており、もう1基は原発内になる使用済み燃料保管プール等の電源確保等のために操業を続けている模様。原発は発電を停止しても、原子炉の冷却や燃料プールの維持のために電源が必要となる。電源が途絶えると、放射性物質の漏洩の懸念もある。
(写真は、ロシア軍に占拠されたウクライナのザポリージャ原発)
同原発は、4日未明にロシア軍の砲撃を受け、1号機の原子炉補助建屋が損傷した。国際原子力機関(IAEA)のマリアノ・グロッシ事務局長は、原発敷地内の設備が損傷したことを認めたが、原子炉自体への影響は起きておらず、放射性物質の濃度にも変化はないとしている。
4日のウクライナの原子力規制検査機関(SNRIU)の公表によると、同原発の6基の発電所は、ユニット1が停止、ユニット2は「内部のニーズのために操業」となっている。原子炉の冷却や使用済み燃料プールの温度管理等のためとみられる。ユニット3は送電網から切り離され、冷却措置に入っている。ユニット4は発電中で発電量は825MW。ユニット5と6は稼働停止によって冷却中としている。(この部分を追加修正)https://snriu.gov.ua/en/news/updated-information-about-zaporizhzhia-npp-1500
ロシア軍に占拠されたザポリージャ原発の原発設備はロシア製のロシア型加圧水型原子炉VVER1000。同型の原子炉は旧ソ連時代に開発され、旧ソ連・東欧諸国で広く発電炉として普及している。1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発はRBMK-1000型(黒鉛減速沸騰軽水冷却炉)で、VVER型とは異なる。
ウクライナの原発の使用済燃料については、ザポリージャ原発以外は、ロシアに再処理・一次貯蔵を委託している。一方、ザポリージャ原発の使用済み燃料は敷地内でオンサイト乾式貯蔵施設(SFDSF)で管理されている。ウクライナでは、ロシアに委託してきた使用済燃料からの高レベル返還廃棄物を含め、チェルノブイリ原発の立ち入り禁止区域に集中型乾式使用済燃料貯蔵施設(CSFSF)の建設を予定していた。ロシア軍はチェルノブイリ原発も占拠している。「原発人質作戦」といえる。
https://snriu.gov.ua/en/news/updated-information-about-zaporizhzhia-npp-1500
(注)この記事は、新しい情報が入ったため、2022年3月6日午前1時35分に修正・更新しました。