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欧州最大のウクライナのザポリージャ原発。原発敷地周辺でロシア軍の攻撃による火災発生。原発自体には影響ない模様。周辺住民は原発へのロシア軍の侵攻阻止の行動(各紙)

2022-03-04 13:55:39

nuke003キャプチャ

 

  各紙の報道によると、4日、ロシア軍が侵攻しているウクライナの南東部にある同国最大の原発サイト、ザポリージャ原発で、ロシア軍の砲撃によって、周辺で火災が発生した。ウクライナ非常事態庁は「火災があったのは原発の敷地外にある研修施設」との声明を出した。同原発を含むウクライナ国内の原発に対しては、ロシア軍からのサイバー攻撃も行われているとされてきた。

 

 (写真は、ザポリージャ原発周辺で発生した火災=英Guardianより)

 

 報道によると、火災は4日未明にロシア軍が同原発に向けて開始した砲撃で発生したとされる。西側メディアで報道された火災の様子は、夜間に一つの建物で火災と小規模な爆発が発生。次いで、大きな砲弾が空中から降ってきて、隣接する駐車場一帯が火の海に包まれるといった状況を伝えている。

 

  SNS等で伝えられる火災の映像について、環境NGOのグリーンピースは、戦闘の場所についてザポリージャ原発が立地するエネルホダール市からの主要道路のプロミスロヴァ通りで、原発の厳重警備区域の外側に位置するとし、火災が発生したと思われる建物は、同通りにある教育訓練センターの一部で、ザポリージャ原発1号機から約300〜350mの地点とみられる。両軍の交戦は、1号機から約200〜300m地点で行われた、と分析している。

 

 同原発のウェブサイトで公開されている自動放射線監視システムのデータでは、4日午前5時半(日本時間午後12時半)時点で、敷地内や周辺の空間放射線量等に大きな変化はみられていない。ウクライナ原子力当局も国際原子力機関(IAEA)に対し、同原発の放射線量に変化はないと報告している。https://rief-jp.org/ct13/122923?ctid=76

 

 ただ、周辺の住民たちは原発への攻撃を防止するため、原発に通じる道路を封鎖するなど、防御活動を強めている。ウクライナの国営原子力企業のエネルゴアトム(Energoatom)は一週間前の2月25日、ロシア軍からのサイバー攻撃の影響を遮断するため、ザポリージャで操業する6基の原発のうち2基の操業を停止すると発表していた。https://rief-jp.org/ct13/122829?ctid=76

 

ミサイルの様なものが着弾した状況(左側の火の玉)=Guardian紙より
砲弾の様なものが着弾して火の手をあげる様子(左側の火の玉)=Guardian紙より

 

 IAEAのグロッシ事務局長はウクライナの原子力規制検査機関(SNRIU)と、原発を運営するエネルゴアトム等と、同原発を含むウクライナ国内の4か所15基の原発の安全性を確保するための協議を続けている。ウクライナ側は万一の場合に備え、ザポリージャ原発以外の他の原発サイトでも稼働を縮小するなどの措置をとっている。

 

 ザポリージャ原発は、ザポリージャ州エネルホダルにあり、ロシア(旧ソ連)製の原発VVER-1000を6基有する。1~5号機は1985~89年の旧ソ連時代に順次稼働した。残りの一基はソ連解体後の1995年に稼働している。発電容量は1基で約1000MWe、合計6000MWe。同国の原発全体のほぼ半分を発電する、欧州最大の原発発電量を誇る。

https://snriu.gov.ua/storage/app/sites/1/uploaded-files/%D0%A1%D0%97%20eng.pdf

https://snriu.gov.ua/en/news/ukraine-appealed-international-atomic-energy-agency-apply-specific-joint-actions

https://www.greenpeace.org/japan/nature/story/2022/03/02/55730/?en_txn9=5588&en_txn8=PE-Web&en_txn7=Pub-general&utm_content=People&utm_campaign=Other&utm_source=GPwebsite&utm_medium=banner&utm_term=nuclear_gpwebsite_blog_ukraine_bos