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東芝、ポーランド初の原子力発電所建設事業向けに、米ベクテルと協業。蒸気タービンや発電機納入で覚書締結。海外原発ビジネスに商機目指す(RIEF)

2022-06-09 17:09:48

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 東芝の米国現地法人、東芝アメリカエナジーシステム社(TAES)と、東芝エネルギー・システム&ソリューション(東芝ESS)は8日、米国のエンジニアリング会社のベクテル社との間で、ポーランド初の原子力発電所向けに発電機と蒸気タービンを納入する協業で、覚書(MoU)を交わしたと発表した。東芝本体の経営をめぐっては混乱が続いているが、原発企業としての東芝は、着実に、海外事業展開で布石を打つ構えだ。

 

 (写真は、覚書を調印する東芝ESSの有馬由紀氏㊧、TAES社長の高木健太郎氏㊥、ベクテルの原子力事業部長のアフメット・トピナ氏㊨)

 

 ポーランド初の原発は、国営エネルギー・グループ(PGE)が設立した原子力事業会社PEJを事業主体として、バルト海に面した北部ポモージェ県内のルビアトボ-コパリノ地区に建設する予定。第一号の原発は2033年までに運転を開始させる方針としている。

 

 ポーランドでは1980年代に40万kW級のロシア型PWR(VVER)の建設計画を進めていたが、1987年のチェルノブイリ原発事故の発生を受けて頓挫していた。しかし、同国は発電量の7割以上を石炭火力に依存しており、脱石炭とエネルギー源の多様化を図るため、原子力を活用する方針に転換している。

 

 2021年2月に決定した「2040年までのエネルギー政策」では、2043年までに複数のサイトで最大6基の原子炉(600万~900万kW)を稼働させる計画を立てている。原発開発を担当するのは米国のウェスチングハウス。

 

 同社は、米国とポーランドの民生用原発プログラム開発での政府間合意に基づき、昨年7月、同社製のAP1000原発の基本設計であるFEED( Front-End Engineering Design)をポーランド向けに実施するための米貿易開発庁(USTDA)の承認を得ており、事業会社のベクテルとともに作業を開始している。

 

 ウェスチングハウスはポーランドでの事業展開のために、10社の同国企業との間で協力関係を結んでおり、同国に建設する6基の原発建設に加えて、中欧・東欧諸国でのウェスチングハウス製の原発建設促進を目指す考えという。ポーランドで建設する原発はそうした中東欧諸国向けのモデル開発の位置づけのようだ。

 

 建設を担当するベクテルも同様にポーランド企業との間で協業に合意している。ベクトルは「新規の原発建設には必要な認証を得た実績のある企業の技術と専門性が必要。東芝は蒸気タービン、発電機、あらゆるタイプの発電事業に100年近く関わっており、実績を証明された製造能力と、優れた発電サービスを備えている」と称賛している。

 

 東芝のTAESの高木社長は「ポーランドに新たに原発を建設する事業を支援する機会を、ベクテルとともに得たことは光栄」とし、東芝ESSの有馬氏も「低炭素で安定してエネルギーへの需要が増大しているので、東芝としても安全で信頼できる原発によるソリューションを成功裏に展開するため、顧客やパートナー企業と緊密に協力していきたい」と、述べている。

 

https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/nuclearenergy.html

https://www.global.toshiba/jp/news/energy/2022/06/news-20220608-01.html