原発事業者の国際業界団体「世界原子力事業者協会(WANO)」の総裁に、東電HDの小早川社長。すでにCEOは関電出身者で、理事会リーダー3人中、2人が日本勢の「日本シフト」に(RIEF)
2024-10-03 00:26:59
(写真は、アブダビで開いたWANOの隔年総会で総裁就任の演説をする東電の小早川社長)
原発を運営する国際的な事業者で組織する「世界原子力発電事業者協会(WANO)」の総裁(President)に、東京電力ホールディングス社長の小早川智明氏が選出された。アラブ首長国連邦のアブダビで開いていたWANOの隔年総会で選出された。現在、WANOのCEOには関西電力出身の千草直樹氏が就任しており、理事会(Governing Board)を率いる、会長、総裁、CEOの3人のリーダーは、今回の小早川氏の総裁就任で、過半の2人を日本勢が占める「異例」の日本シフトになる格好だ。
WANOは世界の原発事業者などで組織する原発業界団体として知られる。現在のメンバー数は125事業者で、運営する原発数は460基以上(休止中も含め)。同団体は、旧ソ連のチェルノブイリ発電所事故後、原発の安全性向上を共通課題として、1989年5月に設立された。
東電からの総裁就任は、那須翔元会長が1991~93年にかけて就任して以来で2人目。WANOは26年の隔年総会を東京で開く予定で、総裁就任の小早川氏の当面の最大使命の一つは、次期総会の運営のための準備があげられている。
ただ、理事会が「日本シフト」になる点については、WANOも東電も言及していない。東電が福島第一原発事故処理を抱えながら、政府のGX政策で原発新設を含む拡大路線を提唱していることを、WANOとして後押しする狙いがあるのかもしれない。あるいは、各リーダー職の任期の事情で日本人就任が重なったということかもしれない。
理事会をけん引する、 もう一人の会長職は、カナダのオンタリオ電力会社の社長、会長を務めたトム・ミッチェル(Tom Mitchell)氏が就いている。同氏の任期は25年2月までとなっている。
総裁に選ばれた小早川氏はWANOの総会で、「 福島第一原発事故から13年が経過し、これまでに得られた教訓を皆さんと共有することで、世 界中のプラントの安全性向上に寄与することを、強く望んでいる。『福島第一』は 計画的に廃炉作業を進めることができる環境が整いつつある。 2023年8月には、廃炉を進める上で避けることができない、ALPS処理水の海洋放出を開始できた。今年9月には、燃料デブリの取り出しに着手した。2026年に東京で開催する次の隔年総会では、皆さんに『福島第一』の視察ツアーにお越しいただきたい」などと発言した。
https://www.tepco.co.jp/press/release/2024/pdf4/241001j0301.pdf
https://www.tepco.co.jp/press/release/2024/pdf4/241001j0302.pdf