HOME |福島県田村市 除染後も約4割の地域で政府目標値を上回る放射線量を測定 政府は被害者の帰還・移住の選択を支援すべき(Greenpeace) |

福島県田村市 除染後も約4割の地域で政府目標値を上回る放射線量を測定 政府は被害者の帰還・移住の選択を支援すべき(Greenpeace)

2013-10-10 15:15:38

田村市で放射能測定データをチェックするグリーンピースの国際調査団
田村市で放射能測定データをチェックするグリーンピースの国際調査団
田村市で放射能測定データをチェックするグリーンピースの国際調査団


国際環境NGOグリーンピースは10月10日、福島県田村市で10月1日から5日に実施した放射線調査の結果を発表しました(注1)。田村市東部の都路地区の一部は東京電力福島第一原発から20キロ圏内に位置し、避難指示解除準備区域に指定されていますが、田村市は11月にも初のケースとなる避難指示の解除を目指しています。原発20キロ圏内では、政府による大規模な除染作業が行われたものの、空間放射線量は依然として高く、住民は今もなお継続する原発事故の被害に直面していることが明らかになりました。

今回のグリーンピース放射線専門家チームは、ドイツやインドなど10カ国16人で構成され、田村市の道路や森林、民家とその周辺、田畑などの空間放射線量および食品と土壌に含まれる放射能の調査を実施しました。その結果、原発20キロ圏内の道路における空間放射線量調査では、18,180の計測地点のうち39%(地上1メートル、7,068地点)で、政府が目標としている毎時0.23マイクロシーベルト(注2)を上回る結果が測定されました。

放射線調査と並行して、原発事故後、田村市内で避難を続けている方や、自宅修理等のために原発20キロ圏内に戻っている方12名に、生活状況の聞き取りを行いました。その結果、除染が実施された場所は放射線量が下がってはいるものの、原発事故によって一変した生活は回復していないことが改めて浮き彫りになりました。除染作業は、耕作地や道路沿い、住居から20メートルの範囲で実施されたに過ぎず、さらに、子どものいる家庭は放射線量の低い地域での避難を続けるなど、「家族が一緒に住めなくなった」、「地域のつながりが分断された」といった声が聞かれました。グリーンピースではインタビュー内容を記録し、約3分間の映像にまとめウェブサイトで公開しています。

グリーンピース・ジャパン気候変動・エネルギー担当の高田久代は、「今回の調査から、原発事故が人々から奪ったものは計り知れないことが改めて確認されました。事故前のような家族や自然とともにあった豊かな暮らしをおくることは非常に困難です。政府は原発事故の被害者の声を真摯に聞き、その声を確実に政策に生かすべきです。元の家に戻る方、別の地域での生活を始める方、いずれの場合にも被害者が自らの意志で選択できるよう、政府は適切な支援をするべきです」と訴えました。

事故発生から2年半を経ても、東電福島第一原発事故は収束していません。相次ぐ汚染水の漏えいなど、深刻な問題が山積しているにも関わらず、政府や東電は原発の早期再稼働を目指すなど、原子力産業の延命を優先させています。

グリーンピース・インターナショナル 核問題担当・放射線防護アドバイザーのリアナ・トゥールは、「日本政府は、原発事故や汚染水問題などについて原子力産業の責任を追及し、自らの国際的責任を果たすべきです。最優先されるべきは、原発事故の早期収束と被害者への適切な支援です」と指摘しました。

注1) 第21回目放射線調査

注2)年間1ミリシーベルトとなる被ばく線量

 

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2013/pr20131010/