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ウクライナ紛争 チェルノブイリ被災者支援に影 政情不安で補償金支給遅れの懸念(毎日)

2014-03-05 11:46:46

チェルノブイリ原発を覆う古い石棺をカバーする鉄鋼製のアーチの建設中
チェルノブイリ原発を覆う古い石棺をカバーする鉄鋼製のアーチの建設中
チェルノブイリ原発を覆う古い石棺をカバーする鉄鋼製のアーチの建設中


【キエフ篠田航一】ヤヌコビッチ政権が崩壊したウクライナで、旧ソ連時代の1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の被災者らが不安を抱いている。国が安定しなければ、被災者への補償金支給に遅れが出る事態も想定されるからだ。さらに、新政権でも「汚職体質」が続けば、補償金がきちんと届かない事態も予想され、被災者らは政変の行方を見守っている。

「私たち被災者が怒っているのは、着服や賄賂政治の横行で、本当に助けが必要な人への支援額が少ない点だ。政権が代われば本当に汚職はなくなるのか疑問だ」。キエフ市内の病院で今も心臓の治療を受ける元チェルノブイリ原発作業員のアナトリー・コリアディンさん(64)が憤る。

原子炉の冷却作業などに従事したコリアディンさんは今、被災した年金生活者向けの補償金として、月額約1000フリブナ(約1万円)を受給するが、ほとんどが薬代に消えてしまうという。

一方で補償金に関する「不正」のうわさは後を絶たず、官僚の着服疑惑や、受給資格のない人が多額の補償金などを受け取る例も指摘されている。

ウクライナでは、飛散した放射性物質の影響で今も200万人以上の国民が健康被害に直面しているとされる。2011年には、ヤヌコビッチ政権の支援削減方針に反対する被災者ら約1000人がデモ行進し、警官隊と衝突する騒ぎもあった。

被災者支援を担当する社会政策省のセルゲイ・クチェレンコ氏は「省に回る予算が少なく、新政権には増額を望みたい。政情不安が続いても被災者への支給には支障が出ないようにする。支援の透明性は確保している」と話す。

だがヤツェニュク首相は「国庫はほとんど空っぽの状態だ」と、危機的な財政状況を明かしている。

 

http://mainichi.jp/shimen/news/20140305ddm007030104000c.html