HOME |東日本大震災あす3年 各地で追悼 (河北新報) |

東日本大震災あす3年 各地で追悼 (河北新報)

2014-03-10 11:45:32

ろうそくの火を見つめる佐々木さん(右)
ろうそくの火を見つめる佐々木さん(右)
ろうそくの火を見つめる佐々木さん(右)


◎陸前高田/若者有志 街に光の道/旧駅前通り 300メートル照らす

 

岩手県陸前高田市の若者有志によるライトアップイベント「高田に輝(ひかり)の花を咲かせよう」が9日始まった。東日本大震災の津波で被災し、明かりを失ったままの旧市街地に柔らかな光がともった。
旧陸前高田駅前通り約300メートルに、1000本以上のろうそくと発光ダイオード(LED)数百個を並べた。午後5時30分に点灯されると、光の道が浮かび上がった。

慰霊碑に拝礼する遺族ら
慰霊碑に拝礼する遺族ら


 

イベントは、同市の保育士佐々木七扇さん(28)が「夜は真っ暗になってしまう高田で、楽しいイベントをやりたい」と呼び掛け、第一中時代の同級生ら約20人とともに準備を進めてきた。

 

イベント名には、消防団活動中に犠牲となった第一中の同級生菊池勇輝さん=当時(25)=から「輝」の1字をもらった。多くの個人・団体が賛同し、LEDの提供などを申し出た。

 

佐々木さんは震災で、母美和子さん=当時(57)=を亡くした。12年春に帰郷するまで高田を離れていたことに後ろめたさを感じていたが、イベントを通じ「同世代が一つになれた」と感じている。「かさ上げ後の街づくりに、若い人たちが動いていくための一歩になれば」とも期待している。

 

点灯は11日までの午後5時半~午後9時に行われる。

東日本大震災の津波で1700人以上が犠牲となった陸前高田市で9日、市主催の追悼式が高田小体育館で行われた。

 

遺族や関係者約1200人が参列。黙とうの後、戸羽太市長が「さらなる復興の進捗(しんちょく)で、被災者はじめ全ての人が未来を描ける年にしたい」と述べた。

 

遺族を代表し、市内の仮設住宅で暮らす漁業熊谷政之さん(50)が、津波の犠牲になった妻久美さん=当時(42)=に向けて「震災翌日に中学卒業を控えていた長女が高校を卒業し、次女も中学卒業を迎える」と語り掛け、「何かあったらすぐ逃げることを前提に高田が安全な街になることを願っている」と述べた。

 

参列者はこの後、それぞれ献花し、犠牲者の冥福を祈った。

◎岩手・大槌/半鐘響き海へ合掌

半鐘の音が響く中、海の方向に向かって手を合わせる参列者
半鐘の音が響く中、海の方向に向かって手を合わせる参列者


東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大槌町安渡地区の旧安渡小で9日、町内会主催の震災犠牲者追悼式があった。震災時に津波の襲来を知らせ、住民に避難を呼び掛けた半鐘の音が響く中、参列した約150人が、海に向かって静かに手を合わせた。

 

式には、震災後、地区外の仮設住宅などに散り散りになった住民も駆け付けた。午後2時46分、消防団員が鎮魂の半鐘を1分間鳴らし、参列者は祈りをささげた。
安渡地区では震災当時、消防団員の越田冨士夫さん=当時(57)=が、消防屯所で半鐘を打ち鳴らし続けた。半鐘は津波が消防屯所をのみこむまで鳴り続け、越田さんは帰らぬ人となった。

 

越田さんの親戚で仮設住宅で暮らす越田ミサさん(76)は「半鐘の音を聞くと、恐ろしいあの日の光景が目に浮かぶ。前を向こうと、普段は明るく振る舞っているが、毎年この時期は忘れられない、忘れてはいけない悲しみが心に重く突き刺さるようだ」と涙ぐんだ。

 

町内会によると、同地区には震災前、824世帯1953人が暮らし、218人が犠牲になった。現在は約150世帯約450人に減った。

 

大槌町では11日、町主催追悼式が開かれる。

◎南相馬「遺骨、古里に戻したい」/危険区域の慰霊碑訪問

東日本大震災の津波で住民32人が犠牲になった福島県南相馬市原町区下渋佐地区の慰霊祭が9日、同地区の八坂神社で営まれた。

 

慰霊祭には遺族ら約50人が参列。昨年10月に建立された慰霊碑に1人ずつ玉串をささげて拝礼し、故人の冥福を祈った。

 

津波で両親を失った会社員湊光之さん(55)=同市鹿島区=は「原発事故で両親の捜索もできずに避難した。あの時の深い悲しみと悔しさは忘れない。ここは住めない土地になったが、早く遺骨を下渋佐の地に戻したい」と遺族を代表して追悼の言葉を述べた。

 

夫を亡くした主婦桜田ヨシ子さん(65)=原町区=は、震災後に誕生した孫の朋悠(ともはる)君(1)を連れてきた。「まだ亡くなったとは思えない。それでも、孫が夫の生まれ変わりだと思い、成長を見守りたい」と語った。

 

59戸あった下渋佐地区は全域が災害危険区域に指定されている。住民は原町区を中心に地区外で住宅再建を目指すが、流された共同墓地の地区内での再建を望む。平隆男行政区長(74)は「地区住民のつながりは今後も残していきたい」と話した。
◎福島・大熊/避難先で冥福祈る

福島県大熊町の震災犠牲者追悼式が9日、町役場が避難している会津若松市のセレモニーホールで開かれ、遺族ら約90人が故人の冥福を祈った。

 

福島第1原発事故で全町避難している町では、震災以降、292人が亡くなった。渡辺利綱町長は「不自由な避難生活の中、満足に供養もできない状態を余儀なくされている。ふるさと大熊の一日も早い復興を誓う」とあいさつした。

 

三春町の借り上げ住宅で暮らす主婦渡部千恵子さん(62)も参列。義父の栄さんは2011年8月、避難先の会津若松市で87歳で亡くなった。

 

渡部さんは「震災前は畑を毎日見回りしていたのに、避難後は農業ができなくなり、気落ちしていた」としのんだ。

 

渡部家の墓地は、除染廃棄物の中間貯蔵施設の建設候補地の中にある。渡部さんは「墓がどうなるか分からないので、先祖の土地に納骨もできない」と無念さを語った。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201403/20140310_75001.html