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福島県内の放射能汚染物質仮保管 東京ドームの1・75倍分に達する 石原環境相の「金目」発言で、中間貯蔵施設建設の見通しも立たず(FGW)

2014-07-21 23:54:08

ピラミッド状に積まれた除染廃棄物の山。避難住民は、除染の進み具合を複雑な思いで見詰めている=福島県川俣町山木屋地区
ピラミッド状に積まれた除染廃棄物の山。避難住民は、除染の進み具合を複雑な思いで見詰めている=福島県川俣町山木屋地区
ピラミッド状に積まれた除染廃棄物の山。避難住民は、除染の進み具合を複雑な思いで見詰めている=福島県川俣町山木屋地区


東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県内で実施した除染作業で出た放射性汚染廃棄物の一時保管量が、東京ドームの1.75倍分に達していることがわかった。

各紙の報道によると、福島県内の市町村が実施した除染作業による放射能汚染廃棄物のうち、学校や住宅の庭先などで「現場保管」している廃棄物量が3月末現在で約98万㎥(推計値)にのぼる。これに、市町村の仮置き場で保管中の廃棄物を合計すると約217万㎡で、東京ドームの1.75倍に達する。いずれも福島県の調査で分かった。

 
町の中に野積みの形で現場保管されている場所は合計で5万3057カ所にのぼる。98万㎡の約4割に当たる41万㎡分は、一般の住宅の庭先や町の事業所などの約5万カ所に保管されている。残りの約57万㎡は学校の敷地や公園などの公共施設約3000カ所に山積みされている。

 

これ以外に市町村が設置した仮置き場は県内に626か所ある。仮置き場分の合計保管量は約119万㎡。町の中での保管分を合わせると、約217万㎡になるわけだ。汚染廃棄物は黒いフレコンバッグ等に入れられ、仮置き場などでは5段積み等で保管されている。高さは5mに及ぶ場合もある。このため、「黒いピラミッド」と呼ばれたりしている。

 

一時保管から3年以上を経過するものなどは、プラスチックのバッグが破れて、雑草が芽吹いているものもあるという。

 

現場保管の汚染廃棄物は、今後、中間貯蔵施設に運び込まれる予定だが、国が候補地とした大熊町と双葉町は、中間貯蔵施設を最終処分場に切り替えるのではとの疑念が住民の間で強く、設置への同意が取り付けられていない。

 

大熊町と双葉町の住民の間には、原発事故処理がいまだに見通しが立たない中で、いったん中間貯蔵を受け入れると、さらに廃棄物の受け入れを拒めず、最終的に町全体が原発廃棄物処理場に置き換えられてしまう懸念が強いという。こうした住民の疑念は、国と東電の事故処理で、誰一人責任をとらないまま、住民に不便と不安を押し付けている現状から生まれている。

 

さらに、石原伸晃環境相が「最後は金目でしょ」などと発言したことで、国への不信感は拭えない状態になっている。このため、福島県内で山積みされる現場保管廃棄物量は、これからもさらに増えるとみられる。日本の原発行政の”場当たり性”を象徴する現象といえる。