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東電、福島第一原発の賠償見積もり額修正 総額7兆1000億円。国の賠償打ち切り方針でほぼ確定。将来の事故リスクは含まず(各紙)

2015-06-29 15:26:09

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 各紙の報道によると、東京電力は、福島第一原発事故による損害賠償の総額を従来よりも1兆円多い約7兆1千億円と見積もっていることが、分かった。近く改定する再建計画(新総合特別事業計画)に盛り込む。政府が避難者への慰謝料支払いなどの終了時期を示したことで、東電が想定する賠償額の全体像がほぼ固まった。


 東電は既に新たな見積もりに基づいて、原子力損害賠償・廃炉等支援機構と調整に入っており、週内にも経済産業相に正式に申請する予定。経産省は7月上旬ころに東電の申請額を認定する方針だ。


 政府は12日に決めた福島復興指針の改定版で、避難者への慰謝料の支払いは2017年度分で、また商工業者の営業損害の賠償についても2016年度で終了することを決めた。今回の賠償額の見積もりはこの政府方針に基づいて東電が追加の賠償額を計算したもの。


 東電は4月に一部改定した再建計画では、損害賠償の総額を6兆1252億円と見込んでいた。ただ、福島第一原発の事故原子炉の撤去等は手がついておらず、これから損傷部分の調査・解体という追加汚染のリスクを伴う作業が必要となる。万一、作業工程でトラブルが発生すると、営業損害や住民避難等の追加費用が発生する可能性がある。こうした出たり、政府の目標通りに避難指示が解除できなかったりすれば、賠償総額がさらに膨らむ可能性がある。

 

  賠償資金は原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付(無利子融資)によって賄われる。同資金は機構が国から交付を受けた国債の償還、市中銀行からの政府保証付き借り入れ等によって調達されており、賠償額の増額に伴って、新たな資金交付と機構の調達が必要になる可能性もある。

 

 また東電は機構から無利子で融資を受けるが、元本の返済は必要だが、東電自身の原子力損害賠償引当金は、1兆7657億円(2014年3月決算)で、これまでの資金援助総額5兆円強に対して過小引き当てとなっている。

 

原子力損害賠償・廃炉等支援機構 http://www.ndf.go.jp/soshiki/kikou_gaiyou.html