ロシアの原子力ミサイル実験事故の影響か、800km離れたノルウェーで、放射性ヨウ素を検出。低濃度で人体に影響ないレベルだが、広範囲の拡散を示唆(RIEF)
2019-08-17 21:06:28
ノルウェー放射線・核安全委員会(DSA)は15日、同国北部のエアフィルター基地局で少量の放射性ヨウ素を検出したと発表した。一週間前の8日に、同地から約800km離れたロシア北部の海軍演習場で、原子力ミサイル実験中に5人が死亡する爆発事故が発生しており、ロシアの事故で放射性物質が拡散した可能性もある。
DSAの発表によると、検出された放射性ヨウ素の濃度は極めて低く、現時点では人体や環境に危険を及ぼす恐れはないとしている。ヨウ素が検出された試料は、ロシアでの事故発生の翌日の9日から12日にかけて採集した。
DSAは、「現時点では、検出された放射性ヨウ素が一週間前のロシアの事故の結果かどうかは確認できていない。さらにサンプルを分析していく」と慎重な姿勢を示している。ノルウェーの観測所では年に6~8回は原因不明の放射性物質検出事例があるという。
ロシアの事故地周辺では、放射性物質は通常より4~16倍のレベルに上昇したという。ノルウェーで検出された放射性物資は低濃度だが、ロシアの事故現場から約800kmも離れている。事故による影響だとすれば、かなり広範囲に放射性物質が拡散したことになる。
ロシアの原子力企業のロシアアトムは、爆発を起こしたのは、「放射性同位体の動力源(isotope power sources)」と説明している。
8日のミサイル実験中の事故は、ロシア北部のアルハンゲリスク州ニョノクサの海軍演習場で起きた。関係筋は、実験されていたのは、巡航ミサイル「9M730ブレヴェスニク」(NATOコード「SSC-X-9スカイフォール」)とみている。プーチン大統領は2018年3月の年次教書演説で、同巡航ミサイルの発射成功を公表していた。
1986年に旧ソ連のチェルノブイリで原発事故が起きた際、旧ソ連当局が近隣住民の避難を開始したのは1日半過ぎた後で、西側諸国が事故に気付いたのは、2日後に、スウェーデンの原子力発電所で、職員の靴から高線量の放射性物質が検出されたためだった。スウェーデンの問い合わせに、旧ソ連政府は当初、事故を否定していた。