HOME |台風19号、関東・東北地方を直撃。東電福島第一原発で、処理水等の漏洩事故が続発。どさくさ紛れに汚染処理水を『放出』との見方も。漏洩量、回収量等の情報開示求められる(RIEF) |

台風19号、関東・東北地方を直撃。東電福島第一原発で、処理水等の漏洩事故が続発。どさくさ紛れに汚染処理水を『放出』との見方も。漏洩量、回収量等の情報開示求められる(RIEF)

2019-10-13 01:35:04

tepco11キャプチャ

 

 日本列島に大きな影響を及ぼした台風19号。伊豆半島に上陸後、関東から東北地方へと駆け抜けたことで、各地で被害が起きた。東京電力福島第一原発では、台風の通過に伴って、原発敷地内の各所で、「漏洩」が発生した。汚染処理水の海洋放出問題が国際的にも議論になる中で、汚染水の漏洩を「放置」したのではとの見方も出ている。

 

 東電の発表によると、まず、台風接近前の10月10日の時点で、原発内の汚染処理水から放射性物質を除去する既設の多核種除去設備(A)の移送ポンプ出口弁グランド部からの滴下が発生した。東電では、当該出口弁のグランド部の増し締め、および養生を実施した、と説明している。

 

 その結果、設備からの滴下は停止、堰内の床面に滴下した水は拭き取ったとし、「外部への影響はありません」という。比較的丁寧な対応と説明だ。http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/1518728_9000.html

 

福島第一原発内を視察した小泉進次郎環境相(真ん中、10月2日)
福島第一原発内を視察した小泉環境相(真ん中、10月2日)

 

 台風が接近した10月12日のニュースリリース。午後4時55分頃、2号機廃棄物処理建屋において、漏えい検知器の作動を示す警報が発生した。「2号機廃棄物処理建屋中央エリア移送配管漏えい」とした。http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/1518783_9000.html


 「念のため移送中であった1号、2号、3号、4号の滞留水の移送を停止している」と説明している。

 

 同時刻の午後4時55分頃、2号機廃棄物処理建屋でも漏えい検知器が作動の警報が発生した。http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/1518784_9000.html

 

 次いで、午後7時25分、既設淡水化処理設備建屋でも、漏えい検知器作動を示す警報が発生。その30分後の午後7時56分、プロセス主建屋近傍で、漏えい検知器作動の警報が発生。このため、午後8時2分、建屋内淡水化処理設備Aを停止したという。

http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/1518785_9000.html  http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/1518786_9000.html

 

 午後8時22分、プロセス主建屋でも漏えい検知器が作動。警報の発生とクリアを繰り返した。油分分離装置処理水タンクでの設備漏えいと判明。http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/1518787_9000.html

 

 午後9時57分、プロセス主建屋近傍でも、漏えい検知器作動の警報が発生。淡水化処理設備 循環設備A系トラフ内液位高。http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/1518788_9000.html

 

 午後10時2分頃、増設多核種除去設備建屋で、漏えい検知器が作動の警報。クロスフローフィルタCスキッド1.2近傍タメマス漏えい。午後11時19分、6号機淡水化装置コンテナ内で、漏えい検知器が作動との警報。淡水処理装置コンテナ内漏液。http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/1518789_9000.html 

http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/1518790_9000.html

 

 午後10時52分、免震重要棟で、1号機タービン建屋1階漏えい監視盤用直流電源の異常を示す警報が発生。これに伴い、1号機原子炉建屋1階北東の漏えい監視ができなる。http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/1518791_9000.html

(以上は、13日午前1時までのプレスリリースによる)

福島第一原発を視察した菅原経済産業相(9月18日)
福島第一原発を視察した菅原経済産業相㊨(9月18日)

 

 いずれも「今後、現場状況を確認し、状況が分かり次第お知らせします」としている。一番最初の台風が来る前の10日の漏洩は、対処策と漏洩分の処理結果も書いているが、12日に発生した分はいずれも、どう対応したかは示されていない。台風の通過で対応どころではなかった、のかもしれない。

 

 「状況が分かり次第お知らせします」としているので、いずれまとめてどれくらいの漏洩があったのか、あるいは漏洩を阻止できたのか、どういう原因だったのか、原因を封じ込める改善策をどうとったのか、等の発表があるはずだ。

 

 この問題をウォッチしている向きからは、「台風のどさくさに紛れて、汚染水を放出したのではないか」との疑いの目も向けられている。そうした疑念を晴らすためにも、漏洩量と処理量、対策についての情報はきちんと発信すべきだ。

 

 そうした情報を開示しないと、「どさくさ紛れ論」が信憑性を持ってしまう。原子力委員会は的確な情報開示を東電に指導すべきだろう。原子力委員長が「放出論者」だとしても。

http://www.tepco.co.jp/press/mail/2019/

 

この原稿の続報は、http://rief-jp.org/ct13/94984