HOME13 原発 |東電福島第一原発、10月の台風19号の襲来以降、排気塔の集水箱から再三にわたって1㍑当たり2000万ベクレルのセシウム137を含む放射能汚染水が漏洩。東電はいまだ修理せず(各紙) |

東電福島第一原発、10月の台風19号の襲来以降、排気塔の集水箱から再三にわたって1㍑当たり2000万ベクレルのセシウム137を含む放射能汚染水が漏洩。東電はいまだ修理せず(各紙)

2019-12-03 22:12:36

NHKfukushima2キャプチャ

 

   東京電力福島第一原子力発電所の排気塔に雨が降り注いだ場合に溜めておく設備が、10月に襲来した台風19号の豪雨以降、十分に機能せず、1㍑当たり2000万ベクレルのセシウム137を含む高濃度汚染水が、再三にわたって地中に漏れ出ていた可能性が明らかになった。設備に穴が開いているとみられるが、東電は修理の見通しをまだつけていない。

 

 NHK福島放送局が報じた。高濃度の放射性物質漏れを続けていたのは、高さ120mの排気筒。2011年の事故の際、放射性物質を含む気体が放出された影響で、内部が激しく汚染されている。

 

 このため、排気塔の周囲の地下には、排気筒の中に降り注いだ雨水が漏れ出た際に、汚染水を貯めておく、コンクリート製の集水箱(深さ約1m)を設置している。集水箱は水位が40cmを超えると排水ポンプが自動で起動し、溜めた汚染水を専用のタンクに送水する仕組みになっている。

 

NHKfukushima1キャプチャ

 

 ところが、東京電力によると、台風19号の豪雨の後、ポンプが起動していない時にも、集水箱の水位が下がることが、10月11日以降、これまでに8回発生していたという。

 

 集水箱に溜まった汚染水は、セシウム137が1㍑当たり2000万ベクレル以上の高濃度で検出されている。東電は、周辺の地下水の放射性物質の濃度には変化が見られず、環境への影響は確認できていないとしている。しかし、ポンプが起動していないのに、水位が下がるということは、漏れていることは明らか。

 

 福島第一原発では、台風19号の影響で同社の公表分だけで、10件の漏洩警報が起きた。このうち2件は「誤作動」等で、他の8件も汚染処理水の漏洩ではなく、漏れたのは「台風の降雨と雨水」だったと説明してきた。http://rief-jp.org/ct13/94984?ctid=76

 

NHKfukushima3キャプチャ

 

 しかし、今回は、明らかに高濃度汚染水が集水箱から減少しており、漏洩していることはほぼ間違いない。しかも、台風襲来から1カ月半もの間、同様の漏洩問題を重ねながら、外部に公表してこなかったことになる。

 

 東電は、周辺の地下水の放射性物質の濃度には変化が見られず、環境への影響は確認できていないとする一方、今後、汚染水が漏れ出るのを防ぐ対策を検討するとしているという。漏洩した汚染水の量や、地下水への浸透量等については、明確にしていない。

 

 東電の対応は、台風襲来時もそうだったが、場当たり的な対応に終始していると言わざるを得ない。事故から8年強が経過し、原発の各設備は風雨等で劣化が進んでいる。そうした場合、被害の拡散を防ぐには、早め早めの対策を取る必要があるが、東電は漏洩が起きて、処理すべき汚染水が減少してから、「後処理」的に対応をするパターンが続いている。

 

 こういう企業に今後も危険を伴う廃炉作業を任せ続けていいのだろうか。原子力行政を推進してきた政府(経済産業省)が、自らの責任で中立的な第三者機関に委託して、安全性と迅速性を両方目指した作業の指揮を執るべきではないのか。

 

https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20191127/6050008120.html