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大和総研の河口真理子さん、同社を退社、不二製油グループに転身。「CSRの伝道師」から、「CSR実践企業」の責任者へ(RIEF)

2020-03-25 15:51:35

kawaguchiキャプチャ

 

 大和証券グループの大和総研でCSRやESG分野を長年担当してきた河口真理子さんが、今月末で同社を退社、4月からは不二製油に転職することになった。日本のCSR分野をけん引してきた河口さんの転身は、CSRおよびESGが啓蒙の段階から、実務の時代に本格化していることを映す一つの出来事かもしれない。

 

 河口さんが関係者に送信した一斉メールによると、「長年務めさせていただいた大和証券グループをこの3月末で卒業させていただくことになりました」と宣言。1986年の大和証券入社から34年所属した同社グループを退職することを伝えている。

 

 河口さんは、一橋大学経済研究科修士を経て、1986年に大和証券に入社。91年に大和総研へ転籍。その後、環境経営、SRI(社会的責任投資)、CSRの調査に従事してきた。2010年からは大和証券グループ本社CSR室長、大和総研環境・CSR調査部長等を歴任。2018年12月以降は大和総研の研究主幹を務めている。

 

 河口さんに転身の理由を尋ねた。

 

 「SRIからESG投資へ20年以上やってきて、それなりに火がついてきた。様々な専門家が参入してマーケットが大きく成長してきた。パイオニアとしての私の役割は終わったと思う。となると、次に大事なのが消費者、生活者。ライフスタイルを変えるのはさらに難しい。サステナブルなライフスタイルを作るためにも、一番身近な食が大事。『食からライフスタイルを変える』。これが次のミッション」ーー。

 

  世の中は、新型コロナウイルスの感染で大騒ぎ。その先はどうなるのか。不安の先を河口さんは見据える。

 

 「コロナが収束した時、次の時代を引っ張るのは、今までの物質主義ではない新たな価値観、サステナビリティになると確信している。すでに、ビジネスメールでも、『利益』という言葉より、『健康と安全』が、キーワードになっている。コロナの大きな犠牲を無駄にすることなく、次世代をサステナブルな道筋につなげられるように、皆で頑張って行けたら、と思う」

 

 新たな職場となる不二製油は、大阪府泉佐野市に本社を置く、食用油脂などの食品素材加工会社。チョコレート用油脂や大豆たん白事業を柱にグローバルに事業展開をしている。昨年3月には、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)のポジティブ・インパクト金融原則に基づく初の借り入れを実行、環境金融面でも実績をあげるなど、「CSR/ESG実践企業」として知られている。

 

  河口さんは同社のグループ本社CEO補佐になる。同時に、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授として、ESG等を学生たちに教えるという。不二製油で週3日、大学で週2日の割合で勤務する予定。大和総研でもアドバイザーとしての役割を継続するとしている。

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