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東京海上ホールディングス、再生可能エネルギーリスク引き受け専門の英保険代理店「GCube」買収完了。わが国でも再エネ事業のリスク引き受けに本腰(RIEF)

2020-06-03 13:33:02

GCube001キャプチャ

 

  東京海上ホールディングスは、 再生可能エネルギー事業のリスク引き受けに特化した英保険代理店のGCubeの買収を完了した。同社は、風力発電や太陽光発電等の再エネ事業の保険を世界40カ国で展開する再エネ保険のリーディング会社。東京海上にとって、わが国でも拡大が見込まれる洋上風力発電事業等での保険引き受けの本格展開を目指すことになる。

 

 GCubeの買収は、東京海上傘下の米 HCC Insurance Holdings, Inc.(TMHCC)を通じて行った。従って東京海上にとっては孫会社に相当することになる。売買契約は3月までに締結していたが、英国等の関係当局からの認可取得手続き等がこのほど完了した。買収額は全額TMHCCの手元資金で賄うが、金額は公表していない。

 

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 GCube 社は1987年の創業。風力、太陽光、水力等の再エネ事業のリスクに特化した保険引き受けの総代理店として、本拠地の英国のほか、米国、欧州、オーストラリア、南アフリカ、 アジアなど、世界各地で事業展開をしている。従業員は約50人。現在、保険を引き受けている再エネ事業の規模は建設中等を含め世界全体で100GWを超えている。

 

 提供する主な保険は、発電施設を建設する際の建設保険、資材輸送時の貨物保険、施設完成後の財産保険、事業者の一般賠償責任保険等。年間の取り扱い保険料は1億3200万㌦(約147億円:2018年度実績)。

 

 東京海上は「 当社グループは、保険事業を通じてサステナブルな未来づくりを推進しており、本買収により、 再エネ事業分野の成長を保険事業の面から、更に積極的に支援していく。 本件買収を通じて再エネ事業分野の保険に関する高度な引き受け力・リスク評価力・損害サービス対応力等の事業基盤を獲得できる」と評価している。

 

 今回、実質的に買収主体となるTMHCCは、航空保険や農業保険等の特定のリスクを対象とした「ス ペシャルティ保険」分野に特化した事業展開をしており、相互に相関性が低い様々なスペシャルティ保険の引き受けを米国・メキシコ・英国・欧州等で行っている。エネルギー業界向けの「スペシャリティ保険」も20年以上手掛けている。GCubeに対しても引き受けキャパシ ティを提供してきた。

 

 再エネ事業には、他のインフラ事業とは異なるリスクがある。自然の日照や風力等に依存することで、発電量の安定確保が必要なほか、太陽光パネルの破損、風車の損壊事故、あるいは設置地域のコミュニティとのトラブル等も含まれる。大型化が進む洋上風力発電の場合、建設・操業中の事故リスクも大きくなる。こうしたことから保険の役割が従来にも増して大きくなっている。

 

http://www.gcube-insurance.com/about/our-company/

https://www.tokiomarinehd.com/release_topics/release/l6guv300000029hj-att/20200305_gcube_j.pdf