HOME8.温暖化・気候変動 |日本生命保険、株・社債の投融資ポートフォリオに占める投資先のCO2排出量ネットゼロへ、投資先への排出削減働きかけと、投資引き揚げ(Divestment)も実施へ。4月から展開(各紙) |

日本生命保険、株・社債の投融資ポートフォリオに占める投資先のCO2排出量ネットゼロへ、投資先への排出削減働きかけと、投資引き揚げ(Divestment)も実施へ。4月から展開(各紙)

2021-01-31 14:59:44

nisseiキャプチャ

 

 各紙の報道によると、日本生命保険は、政府の「2050年温室効果ガス排出量ネットゼロ」を踏まえ、同社の社債と株式の投資ポートフォリオに占める投資先企業のCO2排出量を、2050年にポートフォリオ全体でゼロになるよう運用するという。4月から実施する。投資先企業に排出削減を促すとともに、投資先の対応が不十分な場合は投資引き揚げ(Divestment)も検討するとしている。

 

 日本経済新聞が報道した。日生は約70兆円の運用資産を抱え、民間の機関投資家として国内最大。国内の株式・社債の投資先は約1500社。同社の試算によると、現在の投資ポートフォリオからのCO2排出量は年間約1200万㌧に上るという。

 

 報道によると、同社はまず、投資先と協議して、企業としての脱炭素の取り組みを強化するよう促すエンゲージメント活動を展開する。しかし、そうした働きかけにもかかわらず、一定期間、企業側の対応がない場合は、保有する株式や社債を売却し、CO2削減で先行する投資先に切り替え、ポートフォリオ全体のCO2排出量削減を促進する考えという。

 

 企業に働きかけるエンゲージメント活動では、保有株対象企業の株主総会での代表取締役の選任議案で脱炭素を賛成の条件にすることも検討するとしている。ポートフォリオのCO2負荷改善は、当初、国内株・社債から始めるが、海外の債券についても順次、対象にしていく方針という。

 

 同社では、この「脱炭素」方針を、2021年度から順次開始し、2030年度には投資先全体のCO2を26%減らすことを目標とする。そして2050年度にはゼロにまで持っていく。同社では、同様の投資行動が他の投資家の間にも広がれば、投資先企業のCO2削減が一層、加速し、産業界全体の脱炭素の取り組みが進むとみている。投資先企業の反応のみならず、他の投資家の対応にも期待しているわけだ。

 

 日生はすでに、株式や債券、融資等一部資産の投融資判断において、企業のESG等の非財務情報を考慮する方針を実践している。さらに今年4月からは、ESG評価の対象を国債等を含め、運用資産全体に広げて、すべての投資判断に、ESG要素を組み入れる考えだ。今回の投資ポートフォリオ全体のCO2削減方針は、ESG評価投資全体の具体化の一つとなる。

 

 投融資に際しての「ネガティブスクリーニング」対象としては、クラスター弾・⽣物兵器、対⼈地雷、化学兵器の製造を⾏っている企業を除外しているほか、気候変動への影響が⼤きい⽯炭⽕⼒発電事業への新規投融資についても、国内外問わず原則取り組まない⽅針としている。例外はCCS併設の事業に限定している。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210130&ng=DGKKZO68687790Q1A130C2MM8000

https://www.nissay.co.jp/kaisha/csr/library/pdf/2020/csr2020_07.pdf