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東京海上日動火災、TCFDの気候リスクの移行リスク等の評価が企業に及ぼす影響をモデル化する英企業に資本参加。日本企業向けに、シナリオ別の総合的支援サービス展開へ(RIEF)

2021-10-20 16:13:27

Regilirenceキャプチャ

 

 東京海上日動火災保険は、気候変動リスクに対応するソリューションの開発に向けて、英国のRisilience Limited(リジリエ ンス)と資本業務提携をしたと発表した。出資額は明らかにされていない。リ社は気候変動リスクへの対応を目指す企業に向け、シナリオ別に総合的なTCFD対応支援サービ スを提供しており、東京海上はこれらを日本企業向けのリスクモデルの開発・提供や、コンサル業務等として展開するとみられる。

 

 リジリエンス社は、ケンブリッジビジネススクール附属研究所の The Cambridge Centre for Risk Studies として設立されたのち、2016年にスピンアウ トして法人化された。気候リスクについては、TCFD提言を受け、さらにIFRSの国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)設立準備等で、企業のリスク評価・情報開示の必要性が高まっている。

 

 しかし、気候変動の適切なリスク評価・情報開示のためには、物理的リスクと移行リスクの両軸が個別企業の経営に与えるインパクトを計量化する必要がある。だが現状は、総合的な手法・評価を欠いているのが実情だ。

 

 東京海上は、これまでも気候リスクの評価手法や財務インパクトの情報開示に資するソ リューションの研究・開発に自ら取り組んできた。だが、急速に進展する脱炭素社会への移行と情報開示を求める動きの高まりを受け、リ社と連携することで、同社の開発した新たなソリューションを、日本企業に提供できると判断したとみられる。

 

 リ社は、気候リスクへの対応を目指す企業向けに、すでに総合的なTCFD対応支援サービ スを提供している。その概要は、計画策定、実行、進捗管理のための統合プラットフォームを構築、気候変動が個別企業へもたらす経営インパクトを計量化するほか、気候リスクのシナリオ別に詳細分析も可能という。

 

 現在、気候リスクのうち、政策変更や技術開発等による「移行リスク」の計量化モデルの標準的な手法は確立されていない。しかし、リ社は、同社の有する科学的なアプローチをスタンダードな手法として確立し、各国政府の気候変動対策を推進・評価することを目指しているという。

 

 東京海上ではリ社への出資で、気候データを活用した新たなリスクソリューショ ンやデータドリブン商品の開発、顧客ネットワークを活用したサービス提供、グローバルベースでの気候リスク評価・情報提供サービスの事業化等を見据えた知見・ノウハウを収集することを目指して、今回の資本参加を決定したとしている。

 

 今後、東京海上とリ社は、戦略的パートナーシップに基づき、企業等の気候リスクへの対応支援のため、リ社が有する高度なリスクモデルを活用したソリューションを共同で研究・開発していく。

 

 主な研究・開発領域としては、①対象企業の業界・特性に応じた高度な気候変動リスク評価モデルの研究・開発②気候リスクマネジメントに資するデジタルツイン(仮想空間にリアル空間の環境を再現し、あらゆるシュミレーションを行う技術)を活用したリスクソリューションの研究・開発③TCFDに関わる企業活動や気候リスクデータを活用したデータドリブン商品等の研究・開発 ④ESGに関わる訴訟対応におけるリスク低減サービス、リスクコミュニケーション、対策費用等を一体化した気候リスクソリューション等の研究・開発、としている。

https://risilience.com/

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/211019_01.pdf