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東京海上日動、企業のESGスコアを保険料に反映へ。今月中に実証実験。成果を踏まえ、まず企業の会社役員賠償責任保険(D&O保険)への適用目指す(RIEF)

2021-11-08 15:39:42

tokio001キャプチャ

 

  東京海上日動火災保険は8日、企業のESG評価を保険引き受けに反映させる取り組みを始める。企業の会社役員賠償責任保険(D&O保険)等を引き受ける際、ESGスコアの高い企業については割引等を検討することを検討する。ESGに関するコンサルティングを手掛けるトーマツと今月、AIを使った実証実験を行う。成果を踏まえ、速ければ22年度中にD&O保険の引受けに活用し、その後、企業分野の保険全般への展開を目指すとしている。

 

 企業経営にESGを重要課題としえ取り込む企業が年々増えている。ESG投資もグローバルに拡大しており、コーポレートガバナンスコードでも、ESGに関する内容が大幅に拡充されている。 IFRS財団も国際共通のサステナビリティ情報開示のフレームワークづくりを正式に開始した。

 

 東京海上日動はこうした背景を踏まえ、企業のESGスコアを保険の引受けに積極的に活用することを目指して、今回、トーマツと協力しえ実証実験を実施する。実験ではESGのうち特にG(ガバナンス)分野のスコアを中心として、スコアが企業のガバナンスの巧拙に影響するかどうかをAIで見極める。Gでは企業の取締役会の独立性や多様性等の評価が軸となる。

 

 D&O保険を引き受ける際に、財務情報、過去に発生した株主代表訴訟や企業不正事件などの従来からのG分野を軸としたリスク評価項目にESG スコアを加味して分析する。同社では、ESGスコアと、D&O保険の引受時にリスク評価を行う事項との相関が高いと考えており、AIを活用した実証実験で確認する。

 

 実験の成果を踏まえ、AI活用のD&O保険のリスク評価モデルを開発し、22年度中にも同保険の引受毛に活用する考え。スコアの高い企業の保険料を割り引く等を検討している。その後、対象保険を段階的に広げて、企業分野の保険全般へ展開するとしている。

 

 ESGに関連する新たな保険商品・サービスの開発にも応用したいとしている。ESGスコアについては、評価会社等によってスコアの違いや比較可能性が課題となっているが、IFRSによる国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の共通開示基準が出そろうと、ESGスコアの収斂も期待されている。

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/211108_01.pdf