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東京海上日動、地熱発電用の損害賠償保険発売へ。温泉地等との共存目指すバイナリー発電等も対象に(RIEF)

2022-04-27 14:37:20

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 東京海上日動は27日、地熱発電用の保険を新たに創設すると発表した。「2050年ネットゼロ」に向け国内資源である地熱開発の促進が期待されるが、開発に伴い周辺温泉への影響等のリスクを担保するのが同保険の目的。地熱発電の業界団体である日本地熱協会(東京)の会員企業等に対して、5月1日から販売する。

 

 (写真は、日本で最初に開発された松川地熱発電所=岩手・八幡平)

 

 東京海上はこれまでも大型開発の地熱発電向けの保険を2016年に発売している。今回は、より低温で小型開発の「バイナリー方式」の地熱発電も対象にする。同発電は、火山列島日本の温泉地域に適地が多い。ただ、地熱発電を導入することで、周辺の温泉の湧出量の減少や、泉質・温度変化につながるのではとの懸念が温泉事業者等から出される場合が多く、開発が十分に進まない要因にもなっている。

 

 新たな保険は、温泉の泉量や泉質、温度の変化が発生した場合の原因調査費用と、温泉事業者への損害賠償責任を補償するもので、日本地熱協会会員向けの「地熱発電業務賠償責任保険団体制度」。同協会には、地熱開発のための、建設、掘削、エネルギーなどの業務を担う約80社が加盟しており、これらの企業向けに提供する。

 

 補償内容は、① 地熱発電の発電・開発事業者が原因調査費用を負担することで被る損害②同事業の遂行に伴い発生した周辺の温泉の湧出量の減少、または泉質・温度変化により温泉事業者が被る損害に対する発電・開発事業者が負う法的損害賠償責任、の2点。

 

 同保険の保険料は支払限度額が500万円の場合、13万円程度を想定。損害賠償責任額は最大1億円まで設定できる。東京海上では、2024年までに40件の地熱発電事業向けの販売を目指しているという。

 

 日本地熱協会によると、日本の地熱資源量は約2300万kWで、米国、インドネシアに続いて世界3位とされる。地熱はCO2を出さない自然資源による再生可能エネルギーだが、太陽光や風力発電とは異なり、昼夜、季節変動しない安定電源でもある。ただ、日本は資源量は多いが、実際の発電設備容量は世界10位と開発の遅れが目立っている。その要因の多くが、伝統的な温泉利用との調整の難しさにあるとされる。

 

日本地熱協会のデータから
日本地熱協会のデータから

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/220427_01.pdf

 

https://www.enaa.or.jp/?fname=gec_2021_1_14.pdf