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日本生命 豪州メルボルンの渇水対策用「海水淡水化プラント事業」のリファイナンス資金156億円相当を融資。社会的意義を踏まえたESG投融資の一環と位置付け(RIEF)

2017-11-02 23:06:13

goushu1キャプチャ

 

 日本生命保険は、オーストラリアのビクトリア州メルボルン市での海水淡水化プラント運営プロジェクトへ1億7600万豪㌦(約156億円)を融資した。同プロジェクトは、歴史的に大規模な干ばつが頻発している同国での渇水対策を目的とした官民連携プロジェクト(PPP)。日生が豪州のプロジェクトへ融資するのは初めて。

 

 融資先は同プロジェクトを管理する豪アクアシュア・ファイナンス。プロジェクトはすでに2012年3月に完成しており、今回の融資はリファイナンス資金の供給となる。2039年9月まで運転する予定。日生の融資分はリファイナンス資金全体の約23%に相当する。

 

 世界で最も住みやすい都市に選ばれるメルボルンだが、干ばつの影響を再三受けるという課題がある。今回の海水淡水化プロジェクトは、人口約460万人の同市の年間水使用量の約3分の1を供給できるという。造水能力は日量約40万㌧で世界最大規模。プロジェクトの稼働電力は、ビクトリア州内の風力発電から調達する。

 

ビクトリア州ウォンサッギの海岸線沿いに建てられた淡水化プラント
ビクトリア州ウォンサッギの海岸線沿いに建てられた淡水化プラント

 

 プロジェクトは、2009年にアクアシュアコンソーシアムが落札。同コンソーシアムは、仏スエズエンヴァイロンメント、豪ゼネコンのティース、豪投資銀行マッコーリーの3社のほか、日本の伊藤忠も約1億豪㌦を出資している。三井住友銀行、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行のメガバンク3行を含む十数行が国際協調のプロジェクトファイナンスで資金を供給した。

 

 しかし、プロジェクトが完成した2012年には同市の干ばつ用貯水池に十分水が供給されていたため、市は淡水化プラントの水を購入する必要がなく、プラントはいったん稼働しないまま休止状態となった。その間、市政府はプラント建設費用、銀行への金利、休止待機費用などで毎日180万豪㌦を支払わねばならず、市民の強い批判を受けた。

 

 その後、再び干ばつが広がり、市政府は2016年後半に同プラントの稼働と水購入を決めた。休止の間に設備に不具合が生じ、その修理中にも電力系統の損傷などのトラブルが起きたが、今年3月20日に運転を開始、約130日稼働分に相当する5,000万㌧の水を供給した。今後、3年間は、毎年1500万㌧を市に供給する見込みだ。

 

 日生は同プラントがビクトリア州の渇水対策の一翼を担うものであり、社会的意義の高い取り組みと判断して、今回のリファイナンスを引き受けることとした。同社は2020年までにESG債等の投融資を2000億円とする目標を掲げており、今回の融資はその一環でもある。ただし、すでにグリーンボンドの購入等で2000億円の目標は上回っている。

http://www.nissay.co.jp/news/2017/pdf/20171019a.pdf