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京都・舞鶴の国内最大規模のパーム油燃料バイオマス発電事業。事業主体のカナダ企業が撤退。舞鶴市長は事業継続を目指すも、新規事業者の出現は不明(RIEF)

2020-04-27 20:44:56

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 京都府舞鶴市で、同市主導で計画されているパーム油バイオマス発電事業について、事業を担う予定だったカナダの再エネ事業会社Amp社が撤退を決めた。地元住民の反対が強いほか、資金調達にも課題があることが理由とされる。同事業の事業主体が撤退するのはAmp社で3社目。多々見良三市長は引き続き、事業を推進する姿勢を変えていないが、新規の事業主体が見つかるかどうかは不明な情勢だ。

 (写真は、パーム油燃料のバイオマス発電所の建設予定地。舞鶴港内)

 同事業は、舞鶴市の舞鶴港にある府有地に、国内最大規模の輸入パーム油を燃料としてディーゼルエンジン8台で発電する計画。発電量は6万5590kWで一般家庭約12万世帯の年間消費電力をまかなう予定。燃料のパーム油は年間約12万㌧をインドネシアから輸入する。パーム油燃料のバイオマス発電所としては国内最大級で、2022年11月の稼働を目指している。https://rief-jp.org/ct8/95314

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 事業は舞鶴市が日立造船とで立ち上げたもので、日立は発電所の建設と保守管理等も担う予定。事業主体になったのは、Ampの日本法人。2018年7月に「舞鶴グリーンイニシアティブ合同会社(MGI)」を設立。燃料は「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」認証を得たパーム油に限定するほか、建設予定地には、高さ10mの防音壁や同17mの煙突を建設するなどの騒音や振動対策も盛り込んだ。

 しかし、地元住民で組織する「舞鶴西地区の環境を考える会」では、同地に先行する形で、2017年に福知山市で建設されたパーム油発電所が稼働後、近隣地域への騒音、悪臭など環境被害が起きた点を指摘。舞鶴の場合、福知山の発電所の40倍の規模なので反対姿勢を強めた。さらに、RSPO認証のパーム油でも、年間のパーム油使用量は同市の総面積の87%に相当する。結果として膨大な熱帯雨林の喪失につながると批判してきた。

 事業を引き受けたAmp社は「考える会」等とも調整を続けてきたが、このほど「考える会」に対して、同社本社の共同創設者で最高投資責任者(CIO)のポール・エゼキエル(Paul Ezekiel)氏の名で、「本案件の事業化に向けた検討を中止し、撤退する。今後、当社はパーム油を燃料とする発電事業の検討は行わない」と通知してきた。地元での報道によると、Amp社は「事業規模が大きく資金調達などさまざまな課題があった」と説明したという。

事業継続を目指す市長だが
事業継続を目指す多々見市長だが。

 舞鶴市の多々見良三市長は24日の記者会見で、発電所計画について、「市の発展に必要な施設なので住民の理解をいただきたい」とし、引き続き事業を推進する考えを表明した。ただ、建設予定地の喜多地区自治会が「住民のほぼ全員が反対」と訴えていることから、「もろ手を挙げてということにはならないが、住民の生活に害のあるものは絶対に作らない」とも述べている。

https://maizuru-palm.org/

https://amp.energy/about-us/leadership

https://mainichi.jp/articles/20200425/ddl/k26/010/462000c