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三菱造船、川崎汽船等と共同で、洋上用のカーボン回収・貯留システム(CC-Ocean)実証実験へ。世界初。既存船舶のCO2排出削減に期待(RIEF)

2020-09-02 22:06:53

CCO002キャプチャ

 

 三菱造船は、川崎汽船等と協力し、船舶から排出さるCO2を船上に設置したCO2回収装置で回収する実証実験を開始する。工場等からの排出量を回収・貯留するCCSの洋上版で「CC-Ocean(Carbon Capture on the Ocean Project)」と呼ばれる。実験に使うデモプラントは日本海事協会を中心として開発、2021年度に、川崎汽船が運航する貨物船に搭載して実験する。CC-Oceanの実証実験は世界でも初めて。

 

 同プロジェクトは、国交省の海洋資源開発関連技術高度化研究開発事業の対象プロジェクトとして進められている。試験期間は2年間の予定。すでに8月から日本海事協会を主体として、デモプラントと実船搭載に関わるHAZID(HAZard IDentification:潜在危険および想定災害についての判定)検証を開始しているという

 

CCS001キャプチャ

 

 またCO2回収小型デモプラントの製造とシステム安全性評価は三菱造船が実施する。デモプラントは2021年半ばまでに製造し、その後、作動試験を経て、川崎汽船が運航する東北電力向けの石炭運搬船に搭載、実証する。その後、2021年度末まで実際の海上環境下で運転や性能確認・計測を通じ、洋上システムとしてのコンパクト化や仕様等を検討する予定。

 

 洋上でのCO2回収率は、排出量の85~90%をカバーできるという。また回収したCO2はEOR(Enhanced Oil Recovery:原油増進回収法)への新たなCO2の供給源とするほか、人工合成燃料の原料等としてもリサイクル利用が期待されるとしている。ただ、回収したCO2は重油等より4倍重いとされ、またそのまま陸地に移送する場合は追加エネルギーを必要とするなどの課題もある。

 

CCO003キャプチャ

 

 しかし、これらの課題を克服し、プラントの小型化に成功すれば、既存の船舶への導入需要は潜在的に大きく、グローバルに展開できる期待もある。三菱造船では、「パリ協定発効後、世界的に脱炭素化への意識が高まっており、船舶のみならず洋上設備からのGHG排出削減の課題解決に取り組んで、地球の環境保護に貢献したい」としている。

 

https://www.mhi.com/jp/news/story/20083101.html?_ga=2.264783823.1329802981.1599047446-2107930729.1599047446