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住友化学、島根大学と連携、CO2からメタノールを合成する共同研究を推進。CCSにも応用可能。2020年代の実用化目指す(RIEF)

2020-09-15 14:44:32

shimane002キャプチャ

 住友化学は島根大学と連携し、CO2からメタノールを高効率で製造する技術開発の実用化に取り組む。ごみの焼却処理等から発生するCO2と再エネ由来の水素を原料にメタノールを生成する際の課題を克服し、高効率なメタノール製造につなげる。CO2と使用済みプラスチックを資源とした炭素循環を確立できるほか、CCSへの応用も可能だ。2020年代中の実用化を目指す。

 メタノールはエチレンやプロピレンなどの合成樹脂や接着剤等の多様な中間製品のほか、燃料等にも活用される。世界で年間約8000万㌧の需要がある。現在は主に化石燃料の天然ガスや石炭ガスから製造したCOに触媒を反応させて製造している。

  別途、CO2と再エネ由来の水素を原料として合成する方法も知られてきた。合成ガス(CO、CO2および水素の混合ガス)からも製造ができるため、地域の使用済みプラスチックやバイオマス資源を変換した合成ガスからのメタノール製造も可能だ。

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 ただ、CO2利用のメタノール合成の場合、メタノールの収率が低いことや、化学反応で副生する水蒸気によって触媒劣化が起きるため、これまでは実用化には向かないとされてきた。この課題を克服する技術を、島根大学総合理工学部教授が開発した。

 同教授の開発した技術は、化学反応収率を向上させるプロセス技術。今回の共同研究では、島根大学が触媒とプロセスの基礎技術の開発を進め、住友化学は、その基礎技術をもとに触媒とプロセスの工業化に取り組む。これによって、高効率なメタノールの合成反応の確立を目指すとしている。

 両機関は共同研究を通じて高効率なメタノールの合成反応プロセスを完成させることで、CO2と使用済プラスチックを資源とした炭素循環を確立し、持続可能な社会の構築に貢献したいとしている。またCO2活用技術とカーボン回収貯留(CCS)技術を組み合わせれば、カーボン回収利用(CCU)技術として世界中で利用市場が広がる可能性もある。

https://www.sumitomo-chem.co.jp/news/detail/20200910.html

https://www.shimane-u.ac.jp/