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国連支援の責任投資原則(PRI)、署名機関に問う「レポーティングフレームワーク」改定。サステナビリティの投資活動による現実世界への「成果」の回答を求める(RIEF)

2020-11-13 22:12:03

 

 国連支援の責任投資原則(PRI)は、署名機関が毎年、活動報告をするためのレポーティングフレームワークを改定した。2021年からのフレームワークでは、初めて署名機関によるPRI6原則に基づくサステナビリティな投資活動が、現実世界にどのような成果をもたらしたかについて回答を求める。PRI署名機関はすでにグローバルベースで3000機関を超えており、「成果のある投資活動」を求める形だ。

 

 レポーティングフレームワークは、PRI事務局が毎年、各署名機関に質問状を送って活動状況を報告するもの。今回、2年間の作業を経て定めたフレームワークは2021年の報告からの適用される。主な内容は、質問事項を従来の半分にするなど簡素化を打ち出すとともに、回答を義務付ける「Core」の質問と、自発的な「Plus」の質問に分けて聞く形に改める。

 

 PRIのレポーティングとアセスメント担当のElina Rolfe氏は「説明責任は、常にPRIの中核にある。署名機関であることは、資産運用の世界にとって重要であり続けることを確認する必要がある。われわれは、(署名機関の活動に対して)ゴム印を押すような恰好で、そのまま承認するためにいるのではない」と述べている。

 

 質問全体を半減させることで署名機関の回答作業の迅速化に資すると同時に、質問をコアとプラスに2分し、大半を回答を義務付けるコアの質問とする。回答が義務であるだけでなく、回答情報は開示・評価される。質問数は減少するが、コアの質問を回避できない点で、従来よりも、“厳しい”フレームワークとなるわけだ。

 

 PRIは3000を超す署名機関を抱え、活動としては成功してきただが、署名機関の中には投資活動にESG評価をしっかり盛り込んでいるところと、署名はしたものの、ESG活動にはあまり力を入れていないところが混在しているとの批判がある。また、署名機関全体の資産運用額は103兆㌦を超えているが、それだけの資産がESG運用をしていれば、世界の風景はもう少し違うのではないか、との疑問も示されている。

 

 こうした内外の声を受けて、PRIはこれまでも、署名機関に対して基本となる6原則の順守を求めるとともに、活動実績の比較等を通じて、署名機関の仕分け等を進めている。今回のレポーティングフレームワークの改定もそうした仕分けの視点で、コアの質問に十分な回答を寄せられない機関に奮起を促しながら、現実世界に及ぼす成果を高めるための取り組みと言える。

 

 投資を通じた「サステナビリティ成果」の確認は、今回が初めて求める。PRIが公表している10年計画の「責任投資の青写真(Blueprint for responsible investment)」に合致するとともに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿った対応を求めるものと、位置付けている。

https://www.unpri.org/reporting-and-assessment/investor-reporting-guidance/5373.article

https://www.unpri.org/pri-blogs/pris-new-reporting-framework-driving-positive-change-in-responsible-investment/6737.article