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電源開発(Jパワー)、風力発電事業の資金充当のため、グリーンボンド発行へ。来年1月以降。本体は石炭火力等CO2排出の電源が過半を占める(RIEF)

2020-12-11 20:55:06

Jpowerキャプチャ

 

 電源開発(Jパワー)は、同社として初のグリーンボンドを発行すると発表した。JパワーはCO2排出量の多い石炭火力発電を多数抱えるほか、原子力発電所も建設中(青森・大間)だが、発行するグリーンボンドの資金使途は陸上の風力発電事業に充当するとしている。発行は来年1月以降。グリーンボンドはグリーン事業に限ったファイナンスなので、石炭火力を運営している企業でも発行できるとされているが、環境NGOらからは「グリーンウォッシュに近い」との批判もある。

 

 Jパワーによると、資金使途は複数の風力発電事業への充当を中心とする、としている。発行額は未定だが、100億~200億円規模と推測されている。発行時期は1月以降としており、市場の反応をみて発行額等を決める模様。Jパワーは直営の石炭火力事業だけでも7地域に14機(総発電量771万kW)を運営している。それ以外にも共同運営の石炭、ガス等の火力発電を抱えるCO2高排出企業。

 

 その一方で、水力発電、風力発電、地熱発電等の再エネ発電にも力を入れており、風力発電は国内25地点で展開、合計出力約58万kWを保有、国内の風力事業者としては第2位という。Jパワー全体の設備出力のうち、再エネは約4割を占めるとしている。逆に言うと、残りの約6割は化石燃料発電ということになる(大間の原発はまだ稼働していない)。中期経営計画では2025年度に再エネ新規開発を100万kW規模とすることを掲げている。

 

 今回のグリーンボンドの発行に際しては、ノルウェーの第三者評価機関であるDNV GLビジネス・アシュアランス・ジャパンがグリーンボンドの市場基準であるグリーンボンド原則(GBP)のほか、英非営利団体のClimate Bonds Initiative(CBI)の気候ボンド原則(CBS)等に適合するとの評価と検証を実施した。またボンド自体、CBIによる認証も取得したという。

 

 ただ、CO2高排出企業が、コア事業である石炭火力事業等を維持したまま、再エネ等のグリーン事業の展開のためとしてグリーンボンドで資金調達をすることについては、市場でも議論が続いている。国際資本市場協会()CMA)が先ごろ公表したトランジション(移行)ファイナンスのガイダンス(ハンドブック)では、炭素集約企業がグリーン化するための移行ファイナンスの場合、コア事業の改革のために充当を認めるスタンスを示している。

 

 国内の電力会社では、東北電力が今年2度にわたってグリーンボンドを発行し、風力発電事業等の資金調達に充当している。東北電力も石炭火力発電も、原発も抱えている。https://rief-jp.org/ct4/105848

 

 Jパワーは、「エネルギーと環境の共生を目指した事業遂行に取り組んでいく。引き続き電源のゼロエミッション化など事業活動を通じて、企業価値を一層高めていくと共に、社会の持続的発展に貢献していく」とコメントしている。

https://www.jpower.co.jp/news_release/2020/12/news201211.html