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独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構、ソーシャルボンド発行で、コロナ禍で経営悪化する国立大学附属病院等の資金繰り支援。85億円、今月末に発行へ(RIEF)

2021-02-01 18:06:05

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 大学等の教育研究活動の評価や、施設整備支援等の活動をする公的機関の独立行政法人大学改革支援・学位授与機構(東京)は、新型コロナウイルス感染拡大で、経営的に影響を受けた国立大学附属病院の債務返済猶予のための資金繰り支援資金の調達等を目的として、ソーシャルボンド(コロナ債)を発行する。発行総額額は85億円で、今月末に発行する予定。

 

 同機構は、2016年4月に、大学評価・学位授与 機構と国立大学財務・経営センターが統合して発足した。同機構は大学以外で唯一学位を発行する活動のほか、大学等の高等教育の評価事業、教育機関の施設費整備等の活動を実施している。

 

 同機構は昨年2月に初のソーシャルボンド(60億円)を発行しており、今回が2回目。昨年のボンドの資金使途は、国立大学付属病院の高度医療技術・設備の整備支援等のための貸付金に充当した。

 

機構による資金支援の仕組み
機構による資金支援の仕組み

 

 今回も同様に、全国20の国立大学附属病院等を対象に、「先進医療の提供 と地域の急性期医療対応等」の設備整備向け貸付金の財源を調達するとともに、新たにコロナ禍で経営的に影響を受けた附属病院等への資金繰り支援事業を加える。

 

 コロナ感染の長期化で、各国立大学の付属病院等も患者受け入れの第一線に立つ一方で、一般の外来、入院、手術等の大幅な減少で経営悪化が深刻化している。コロナ感染発生初期の昨年4~5月に急速な経営悪化が進んだ後、同9月ころには、全体的に回復傾向になった。だが、その後、第3波の感染拡大の影響で、医療現場はコロナ対策に戦力をとられ、経営悪化が深刻化しているという。

 

 このため、今回のボンド発行で調達した資金については、国立大学の附属病院および国立大学法人の経営安定化を図るため、①債務償還の猶予(今年3月に期日が到来する債務の償還半年延長猶予)②償還期限の延長(猶予に伴う償還期限の半年延長)③利息負担の軽減(新たに必要となる利息や手数料等のコスト免除)ーー等の資金繰り資金を貸し付ける。

 

 発行するソーシャルボンドは、総額85億円、期間5年。発行日は今月26日の予定。同機構は信用格付については、格付投資情報センター(R&I)からAA、日本格付研究所(JCR)からAAAと、国と同等の評価を得ている。ソーシャルボンドの発行に際しては、JCRが国際資本市場協会(ICMA)のソーシャルボンド原則(SGP)への適合性評価を付与している。

 

https://www.jcr.co.jp/download/081b20016ca6f6fe110f1c91da6b6e3fd39dfd1d2543036124/20d1148.pdf