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野村総合研究所、改善目標の達成を「金利優遇」よりも「期限前償還」とする初のサステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)発行へ。データセンターの使用電力の再エネ化(RIEF)

2021-03-16 08:04:00

NRI003キャプチャ

 

 野村総合研究所は15日、同社初のサステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)の発行を発表した。発行額は50億円。SLBの特徴となる目標設定は、グループ全体での温室効果ガス排出量の削減の加速を掲げるとともに、目標達成の場合は、金利優遇ではなく、期限前償還を享受できるようにした。「金利」ではなく「期限」の優遇を条件としたSLBは初めて。

 

 (上図は、野村総研が全国に展開するデータセンターの所在地)

 

野村総研のSLBは期間12年、発行後、10年6カ月以降に金利が上昇するステップアップ条項が付与されている。SLB発行で目指す重要業績指標(KPI)は「同グループの温室効果ガス(GHG)排出量(Scope 1+2)」と「データセンターの再生可能エネルギー利用率」 の 2 つを設定した。同社の使用電力のほぼ8割はデータセンターで使用しており、今後、さらに情報化の進展で使用電力が増大することが予想される。

 

 そこで、これらのKPIのサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)として、①2030年度にグループのGHG排出量(Scope1+同2)を72%削減(2013年度比)②2030年度にデータセンターの再エネ利用率70%、の2つを設けた。①は2050年度ネットゼロに向けた中間目標の位置づけだ。

 

野村総研のSLBの仕組み
野村総研のSLBの仕組み

 

  ①のGHG排出量は現状が2017~2019年度の3カ年平均が37.3%(2013年度比)なので、30年度目標はほぼ倍近い。また②のデータセンターの再エネ利用率は現状はほとんどない。これまで同社はデータセンターの電気使用量の削減は省エネを中心に進めてきたが、省エネだけでは48%の削減が限界との試算結果を得て、残りの24%については再エネ由来の電力調達でカバーするとしている。

 

 二つのSPTをいずれも達成した場合、期限前償還を選択できるコールオプションを付与している。早期に達成できれば、期限前償還ができるうえ、金利引き上げのステップアップ条項を免れて、結果的に金利優遇の享受も可能になる。

 

 主幹事は野村証券、独立引き受け幹事に三菱UFJモルガン・スタンレー証券が就く。外部評価機関は、欧州系のVE.(Vigeo Eiris)と格付投資情報センター(R&I)の2機関。野村総研は2016年にグリーンボンド(100億円)を発行している。

https://www.r-i.co.jp/news_release_suf/2021/03/news_release_suf_20210315_jpn_01.pdf

https://vigeo-eiris.com/wp-content/uploads/2021/03/0315_JP_NRI_JP.pdf