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ゼネラル・エレクトリック(GE)、出力12MWの超大型洋上風力発電機で、IECの「Class-T」認証取得。平均風速57mの台風にも耐えられる。日本の洋上風力に強み(各紙)

2021-04-24 15:02:49

 

 各紙の報道によると、ゼネラル・エレクトリック(GE)は出力12MWという超大型の洋上風力発電機で初めて、台風にも耐えられる性能を示す国際電気標準会議(IEC)の「Class T」の認証を得たという。同認証は、平均風速57mでも発電機が壊れない設計となっている。台風等が頻繁に発生する日本の海洋上での風力発電建設に有効とみられる。

 

 (上のYouTubeは、ライバルのMHI Vestasの9.5MWクラスの「Class T」認証風力発電機のデモビデオ)

 

 日本経済新聞が報道した。GEは日本で入札が予定されている秋田県沖や千葉県沖の海域での洋上風力開発計画に投入を想定しているとしている。

 

 GEが開発した風力発電機は、高さ248m、出力12MW(1万2000kW)クラスの超大型設備。風力発電機等の国際規格を定めているIECは2019年に耐久性の高い「Class T」と呼ばれる認証を設定した。それまでの最高の風力規格の「Class 1」は10分間の平均風速が50m以下だった。新設のClass Tは57mに引き上げられた。

 

  MHI Vestasは9.5MWクラスで「Class-T」の認証を取得している(デモビデオ参照)。それよりも一回り大きな12MWクラスでのClass Tの認証取得は世界の主要な風力発電機メーカーでも初めて。風車の高さは東京の虎ノ門ヒルズビルとほぼ同じ。同ビルが海上で縦にグルグル回転するイメージだ。

 

Vesta002キャプチャ

 

 IECの規格では、風速57mは今後50年以内に発生する可能性がある台風の中心の最大風速(10分間の平均風速の最大値)を示す。例えば、日本に襲来した主な台風では、2019年の台風19号は、千葉県でゴルフ練習場の鉄柱を破壊したが、当時の最大風速は、千葉で35.1mだった。

 

 GEは機器の開発に際して、突風に合わせて自動で風車の向きを調整し、風圧を下げる構造を取り入れている。また陸上用の風力発電機で使う技術を応用し、主柱や部品の強度も高めて強風に耐えられるようにしたと説明している。そのうえで、オランダ・ロッテルダムで1年間、実証運転を実施。実際の環境下での強風でもトラブルなく稼働したという。

 

 製造コストは同サイズの通常の機器に比べて15~20%高くなる。GEは現在、東芝と洋上風力の基幹設備を共同生産する提携交渉を進めており、製造コストの引き下げなどにも取り組むとしている。強風下での発電が可能になると、従来の風車では設置しにくかった海域でも稼働でき、発電効率は高まるといえる。

 

 日本やアジア地域では、風力の立地は偏西風が安定して吹く欧州の北海等とは異なり、台風や乱気流の発生が多い。GEは今回認証を取得した風力発電機なら、日本市場だけでなく、他の強風地域でも対応可能としている。実際に、22~24年に運転開始を目指す英国と米国の3件の計画でも建設の予定という。

 

 日本政府は「2050年ネットゼロ」に向けて、2030年までに洋上風力1000万kWの新設を目指している。世界風力エネルギー協会の試算では、30年に世界で新設される風力発電の41%がアジアに設置されるとみている。

https://www.ge.com/news/press-releases