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住友商事、オーストラリアの環境NGOによる気候変動事業戦略策定を求める株主提案に、反対を決議。6月18日の総会で全面対決に。内外の機関投資家がどちらを支持するか(RIEF)

2021-05-14 23:38:01

sumitomoキャプチャ

 

 住友商事は14日、6月18日に予定する株主総会に向けて、オーストラリアの環境NGOが気候変動の事業戦略策定・開示のため定款変更を求めた株主提案に対し、同日開いた取締役会で反対を決議したと発表した。反対の理由理由として、同社はすでに気候変動緩和を重要社会課題の一つとしてとらえており、株主提案に含まれる事業戦略の策定や開示には取り組んでいる、としている。この結果、株主総会までに、株主の賛否をめぐる議決権争奪戦が展開されることになる。

 

 株主提案をしているのは、環境NGOのマーケット・フォース。3月26日に、住友商事に対して、パリ協定の「1.5℃目標」に沿った経営を行う事業戦略を盛り込んだ計画の策定を求める株主議案を提出した。

 

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 提案の内容は「定款の一部変更」で、「当会社が気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同していることに留意し、 当会社は、石炭、石油、ガス事業関連資産の保有量、事業規模をパリ協定の目標に沿ったも のにするための指標と、短期、中期、長期の目標を含む事業戦略を記載した計画を決定し、年次報告書にて開示する」との条項を、定款に規定するよう求めている。https://rief-jp.org/ct7/112709

 

 これに対して住友商事は14日、「当社は気候変動緩和を重要社会課題としてとらえており、当株主提案に含まれる事業戦略を記載した計画の策定や開示にすでに取り組んでいる」として、「本株主提案が求める内容を新たに定款に記載する必要はない」と指摘し、株主提案に反対する旨を公表した。

 

 同社は5月7日に気候変動問題に対する新たな取り組み方針を公表し、石炭火力発電については2035年までに温暖化ガス排出量を19年比で60%以上削減することや、2040年代後半には全ての事業を終えて石炭火力発電事業から撤退することなどを盛り込んだ。ただ、マーケット・フォースが問題視するバングラデシュのマタバリ石炭火力発電所の拡張案件への建設請負工事業者としての参画については、唯一の例外として「今後、参画の是非を検討する」としている。14日の株主提案反対表明では、同事業の是非について言及していない。

 

 住友商事の反対表明に対して、マーケット・フォース側は「マタバリ石炭火力拡張への参画可能性を残すことで、(住友商事は)重要な一歩をなかったことにした」と指摘。「未来の安全な気候を担保しようとしているとは確信できない。事業戦略をパリ協定と整合させるよう求めている株主提案は、6月の株主総会にて決議される議案として残さざるを得ない」とし、会社側と全面対決する姿勢をみせている。

 

 マーケット・フォースは今月6日の多国籍企業リオ・ティントの株主総会では、同社の温室効果ガス削減計画をパリ協定と整合性を持たせる株主提案を他の団体と共同で提案し、99%の賛同を得て可決させている。

 

https://www.sumitomocorp.com/-/media/Files/hq/news/release/2021/14770/0514.pdf?la=ja