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今年上期の太陽光発電事業者の倒産、件数減少も、大型倒産で過去最高503億円の負債総額。「2050年ネットゼロ」にもかかわらず、事業環境「厳しい」。帝国データバンク調査(RIEF)

2021-07-19 15:53:32

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 太陽光発電関連事業者の今年上半期の倒産動向によると、件数は38件で前年同期比9.5%減と減少したが、負債総額はソーシャルレンディング事業の不正販売問題で太陽光投資ファンドが行き詰まったグリーンンインフラレンディングとその親会社のJCサービスが相次いで経営破綻したことから、過去最高額の503億7300万円と同5.4倍増と大幅に増えた。

 

 太陽光関連事業者の倒産状況は、件数では2018年の年間95件(半期ベースでも18年下期の51件)が過去最も多かった。負債総額ベースでは2016年の333億2800万円(半期では17年上期203億7900万円)が過去最高。

 件数ではその後、半期ベースで40件前後、年間ベースで70~80件で推移している。太陽光関連倒産で過去最高額となったのが、グリーンンインフラレンディング(負債額128億円)と、その親会社のJCサービス(同約153億200万円)の破綻。まだ法的整理には至っていないが、5月に行き詰まったテクノシステム(神奈川)も、負債総額は150億円とみられている。

 

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 グリーンインフラレンディングは、ソーシャルレンディングサイトのmoneoマーケットが同社の投資家向け太陽光投資ファンド(匿名組合契約)を扱っていたが、金融庁がmoneoに対して、投資家に虚偽説明をしたとして業務停止命令を出すなどの事態に陥った。maneoはグリーンインフラレンディングは投資家への分配・償還金をJCサービスに不正送金したとし、3月8日にmaneoが破産を申し立てた。

 

 グリーンインフラの行き詰まりを受けて、JCサービスも、国内のバイオマス発電事業や海外での水力発電事業等に陰りが生じ、5月27日に東京地裁より民事再生開始決定を受けた。

 

 帝国データでは、政府の「2050年ネットゼロ」宣言に伴う政策主導の再エネ誘導期待はあるものの、上半期に相次いだ大型倒産や不祥事の影響で、金融機関は太陽光発電事業分野への与信に慎重になっているとみている。また、仕入れ先や得意先も同様に取引に慎重になっており、「太陽光関連業者の事業環境は今、厳しいものになっている」と評価している。

 

 また倒産件数は、年間ベースでは2年連続で減少した。しかし、今回の半期ベースの38件の評価として「依然、高水準の倒産が続いていることに変わりはない。 特に太陽光関連業者の倒産に大型化の傾向がみられることに留意すべきだろう」と「指摘している。

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210703.pdf