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J-REITのGLP投資法人、初のリワード型のサステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)60億円発行。SPTsの達成ができれば、利率は0.05%低下(RIEF)

2021-09-23 23:47:07

GLPキャプチャ

 

 J-REITのGLP投資法人は、サステナビリティ・リンク・ボ ンド(SLB)60億円を発行した。同SLBはサステナビリティの成果を評価するサステナビリテ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を達成できると、利率が低下するSLB本来の仕組みを導入するとともに、低下利率額も公表している。発行額は全額、第一生命グループが購入した。

 

 SLBは、グリーンボンド等の様に調達資金の使途が特定のプロジェクトに充当されるESGボンドとは異なり、企業自体のサステナビリティを高めるための一般的な資金使途に適用される。サステナビリティの向上については、特定の重要業績指標(KPI)に基づくSPTsを設定し、その達成状況で、ボンドのクーポンレート等を変動させる考えに基づく。

 

 ただ、日本で発行されるSLBやサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)等は、SPTsの設定が不透明なものが多い。また未達成の場合の利率変更条件等が開示されない場合も少なくない。今回のGLP投資法人のSLBでは、SPTsはポートフォリオ全体に占める高ランクの環境認証物件の保有割合を2024年12月末の第一回判定条件までに、80%以上(床面積ベース)に引き上げることとした。同社の2021年8月末の環境認証取得割合は67%で、23%以上の引き上げになる。

 

 ボンドは7年債で、24年末以降、毎年、SPTsの適合確認を行う。利率は2021年9月28日の翌日から2025年9月28日までは年0.284%で、24年末のSPTs判定時に、達成が確認された場合は、2025年9月28日の翌日以降の利率は年0.234%へ0.05%低下する(リワード型)。

 

 主幹事はシティーグループ証券、セカンドオピニオンは日本格付研究所(JCR)。発行SLBは第一生命保険、第一フロンティア生命保険、ネオファースト生命保険の第一生命グループ3社が発行額60億円の全額を引き受けた。

 

 GLP投資法人では、リワード型(ステップダウン型)のSLB発行は世界でも初めて、と強調している。ただ、2020年10月に不動産大手のヒューリックがSPTsを達成できなかった場合に、利率が0.1%上乗せされるSLB(ステップアップ型)を発行しており、両仕組みは実質的に同じといえる。

 

 評価の対象となる「グリーン適格クライテリア」は次の通り。

i) DBJ Green Building 認証(日本):5つ星、4つ星又は 3つ星

ii) CASBEE(日本):S、A又はB+

iii) BELS(日本):5、4又は3

iv) LEED(アメリカ):Platinum、Gold又はSilver

 

 今回のSLB発行で同社のESG債発行額は累計で376億円となり、発行残高はJ-REIT62銘柄で首位になっているとしている。

 

https://ssl4.eir-parts.net/doc/3281/tdnet/2025747/00.pdf

https://www.jcr.co.jp/download/a3c06771587c7296a082197a176a771b60717012191623703e/21d0641_2.pdf