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南米のコロンビア、南米で二番目となるグリーン国債発行。7億5000万コロンビアペソ(COP : 約218億円)。化石燃料開発や原発等は資金使途対象外。将来は自国のタクソノミー制定へ(RIEF)

2021-10-05 15:42:45

Columbia002キャプチャ

 

 南米のコロンビア共和国は、同国初のグリーン国債を7億5000万コロンビアペソ(COP: 約218億円)を8日にも発行する。南米で同グリーン国債を発行するのは、チリに次いで2カ国目。調達資金の使途先からは化石燃料発電や原子力発電事業等を除外する規定が設けられている。将来は資金使途先のグリーン事業について、コロンビア版の国別タクソノミーを設定する。

 

 10月末からの国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の前ということで、投資家の買い需要が強く、発行予定額より約4.6倍の応募があった。同国は当初、発行額を5億COPとする予定だったが、投資家の買い需要が多いことから、発行額を2億5000万COP分増やして7億5000万COPとする。

 

  期間は10年。クーポンレートは投資需要が高かったことから年7%で設定。通常の同国の国債に比べて7bps分の「グリニアム(greenium)」を得る形で低く調達できる。

 

 グリーン国債への投資家の人気は、年初来の同国国債への応募がもっとも多い時で3.1倍だったことに比べ、4.6倍と一段と高かった。同国のグリーンボンド国債フレームワークによると、ボンドは国際資本協会(ICMA)が定めるグリーンボンド原則(GBP)の4つのコア要素に適合しているとして、Vigeo.Eiris(V.E)がセカンドオピニオンを付与した。

 

 資金使途先は、①気候変動緩和策②気候変動適応策③自然資源の保全と管理④生物様性保全⑤汚染の防止と抑制ーーの5分野を示している。さらに国連持続可能な開発目標(SDGs)の17目標のうち、SDG6(きれいな水と衛生)、SDG7(手ごろな価格でクリーンなエネルギー)、SDG9(産業のイノベーションとインフラストラクチャー)SDG11(持続可能な都市とコミュニティ)、SDG12(席になる消費と生産)、SDG13(気候行動)、SDG14(海面下の生活)、SDG15(陸上での生活と国の開発計画)をあげている。

 

 資金使途先の除外事業として、化石燃料の掘削、生産、売却、化石燃料火力発電、原子力発電、内外法に照らして違法な取引活動、コロンビアが参加している国際条約・協定に抵触する活動、森林伐採あるいは破壊、アルコール、兵器、タバコ、ギャンブル等の産業、を列挙している。

 

 コロンビア初のグリーン国債は、V.Eの国別サステナビリティ格付で、スコア62点(100点満点)を取得、V.Eの4段階評価でESGパフォーマンスが「最高位」の評価を得た。対象178カ国中165位にランクされている。

 

 同国の財務・公的債務大臣のJosé Manuel Restrepo Abondano氏は「われわれにとってデビュー債となる今回の発行は、国内のグリーン資本市場を開発することに資すると期待している」と述べている。ペソ建てにより国内投資家の需要に応えるほか、新たな外国投資家にとっても魅力的なボンドになると強調している。

 

 南米ではチリが2019年6月に、ドル建てグリーン国債14億㌦強を発行している。今回のコロンビアのグリーン国債発行はそれに次ぐものだが、コロンビアはドル建てではなく、自国通貨建てで国内市場での発行という点で、南米市場のグリーンボンド市場の拡大に資することが期待される。https://rief-jp.org/ct6/90953

 

 チリは19年のグリーン国債発行以来、グリーン、ソーシャル、サステナビリティの各ESGソブリン・ボンドを合わせて210億㌦以上発行している。コロナ禍の今年だけで130億㌦を発行。国際的にもESG債発行の主要プレイヤーの一つになっている。

 

https://www.irc.gov.co/webcenter/ShowProperty?nodeId=%2FConexionContent%2FWCC_CLUSTER-170719%2F%2FidcPrimaryFile&revision=latestreleased