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ソフトバンク、初のサステナビリティボンド今年度中に発行へ。次世代通信網の「成層圏通信プラットフォーム(HAPS)」の開発事業資金調達に特化(RIEF)

2021-11-24 14:51:34

HAPS001キャプチャ

 ソフトバンクは、成層圏プラットフォームを利用して、地上の広域エリアに安定した通信サービスを提供する成層圏通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)の開発事業に資金使途を限定したサステナビリティボンドを2021年度中に発行すると発表した。調達資金は、HAPSに関わる設備投資や研究開発、事業運営などに充当する。発行額は明らかにされていない。

 (写真は、成層圏プラットフォームでの基地局となる無人航空機のSunglider)

  HAPSは、成層圏に飛行させた航空機などの無人機体を通信基地局のように運用する仕組み。山岳部や離島、発展途上国など、通信ネットワークが整っていない場所や地域に、安定した通信の提供やインターネット接続環境を提供できるとしている。地上での専用のアンテナなどは不要で、既存のスマートフォンなどの端末でLTEや5Gを利用できるという。

 ソフトバンクでのHAPSは現在、研究開発段階で、2027年に本格的に商用化を目指している。2017年に同事業を専門的に担当する子会社のHAPSモバイルを設立。成層圏で展開する太陽光駆動の無人航空機「Sunglider」の開発や、コアネットワークの構築、国際標準化活動等、実用化に向けた取り組みを多様に進めている。2020年9月には、Sungliderの成層圏飛行と成層圏からのLTE通信に成功している。

 同社ではHAPSの事業化のためにも、サステナビリティボンド(HAPSボンドと命名)での資金調達を実施し、事業の進展を加速化する考えという。発行額等は未定だが、発行のためのサステナビリティボンド・フレームワークを制定した。

 それによると、調達資金はHAPS事業の新規、または既存のプロジェクトに充当する。既存プロジェクトはサステナビリティボンド発行日から遡って5年以内の事業に限定する。対象プロジェクトは、HAPS関連の設備投資、研究開発資金、事業開発・同運営資金、運転資金。国際資本市場協会(ICMA)が発行するソーシャルボンド原則(SBP)とグリーンボンド原則(GBP)の各対象事業を想定している。フレームワークの適格性については日本格付研究所(JCR)がセカンドオピニオンを付与した。

 現在のスマホ等の通信に活用されている無線局は、地上の設備あるいは人工衛星に搭載する形で運用されている。地上設置の場合は周辺の障害物の影響を受けるほか、基地局のない山岳地域や離島等では通信状態が悪くなるという問題がある。人工衛星利用の場合は電波強度が非常に小さくなりパラボラアンテナ等の比較的大型な受信設備が必要になる等の課題がある。

 これに対して、成層圏プラットフォームを活用すると、高度20km程度上空に無線局を設置する形になるため、通信サービスの提供範囲を大きく拡大できるほか、十分な電波強度を確保できるため、簡易な受信機器でも対応可能という利便性が期待される。

  ソフトバンクでは、「既存のスマートフォンなどの端末でLTEや5Gを利用することが可能になる。持続可能な社会づくりに貢献する『すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を』のコンセプトの下、5GやIoT、AIなどのテクノロジーと連携して、社会・環境問題の解決に貢献するとともに企業価値を向上させることを目指す」としている。

https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2021/20211124_01/

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