HOME |日米豪の環境NGO、国際協力機構(JICA)のドル建て債券の資金が、目論見書に反し、アジアの石炭火力発電事業に流れ、投資家を「騙す」と米証券取引委員会(SEC)に異議申し立て(RIEF) |

日米豪の環境NGO、国際協力機構(JICA)のドル建て債券の資金が、目論見書に反し、アジアの石炭火力発電事業に流れ、投資家を「騙す」と米証券取引委員会(SEC)に異議申し立て(RIEF)

2021-11-24 23:53:56

JICA002キャプチャ

 

  日米豪の環境NGOが、日本の公的機関である国際協力機構(JICA)が発行したドル建て債券の資金使途が、米証券取引委員会(SEC)に提出した目論見書で示した「コールフリー(石炭事業にはファイナンスしない)」ではなく、アジアでの石炭火力事業に、少なくとも一部が充当されると指摘し、投資家に対する詐欺・不正等を禁じる米国証券取引法に反しているとして、SECに異議申立てを行った。JICAのファイナンスが「グリーンウォッシュ」かどうかの判定を、SECに求める形だ。

 

 (写真は、JICAのインドラマユ石炭火力事業支援に抗議するNGOら)

 

 異議申し立てを行ったのは、日本のFOEジャパンのほか、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、米国のFriends of the Earth US、Mighty Earth、豪州のMarket Forcesの5団体。各団体は23日にSECに異議申し立てを行った。

 

 申し立てによると、JICAは今年4月20日にドル建て債券を発行した際にSECに提出した目論見書で、債券発行での調達資金は石炭火力発電事業に充当しない「コールフリー」であるとと説明している。しかし、JICAはバングラデシュでのマタバリ石炭火力発電事業フェーズ1の本体工事と、インドネシアのインドラマユ石炭火力発電事業のエンジニアリング・サービスへの融資を実施中であるほか、前者事業のフェーズ2と後者事業の本体工事への融資契約締結の手続も進行中という。

 

JICA001キャプチャ

 

 NGOらは、ドル建て債券の発行による調達資金は、JICAの有償資金協力勘定で一括して管理されており、必然的に、JICAが現在、取り組んでいるこれらの石炭火力事業の融資資金の原資となると指摘。「コールフリー」ではなく、「コールローン」の原資であり、JICAの目論見書の説明は事実に反しているとする。同債券の気候関連リスクは目論見書と現実との間で大きな差異が生じており、同債券への投資家は気候リスクにさらされると指摘している。

 

 Market Forcesの代表、Julien Vincent氏は「今回の申し立ては、グローバル投資家がJICA債に投資すると、その投資家自体がJICAがファイナンスする石炭火力発電事業を支援してしまう、との警告を与えることでもある。JICA債を保有する多くの投資家は石炭関連投資を避けようとしていると考えられるが、JICAが引き続き石炭火力ファイナンスを続けると、債券の目論見書の説明に反するだけでなく、投資家の脱炭素の誓約も破ることになる」と指摘している。

 

 NGOの代理人である弁護士のKevin Galbraith氏は「今回のSECへの申し立ては、我々の知る限り、政府機関を目論見書の『不正記載』対象としてSECに申し立てる初の事例だ。SECは気候関連リスクに関する取り締まりを強化しており、今回の事例は例外とはいえない。SECが9月に出したガイダンスは、気候リスクについて(発行体に)信頼性の高い完全な情報開示を求めている。発行体の声明(目論見書等)は投資家をミスリードしてはならない、と明言している」と強調している。

 

 NGOの申し立てを受け、SECはJICAが調達資金をどの事業に充当するのか等を調査する。SECの調査には数カ月かかるとみられるが、NGOらは「できるだけ早急に調査を実施し、JICAが目論見書を通じて、投資家に重要な誤解を与えたことへの制裁を課してもらいたい」と要望している。SECは現在、気候リスク情報開示のルール化に力を入れており、JICAのケースは、厳格なルール化の必要性を際立たせる事例として扱われる可能性もある。


 NGOらは別途、今年3月にJICA債保有機関等39社に向けて、石炭火力発電事業への新規支援を行わないようJICAに対してエンゲージメントを行うことを求める要請書を提出している。そのうち複数の金融機関からエンゲージメントに前向きな回答を得ていると付け加えている。

 

 JICAのファイナンスの対象となるインドネシア・西ジャワ州のインドラマユ石炭火力発電事業は、2000MW(1000MW ×2基)の超々臨界圧石炭火力発電所(USC)を建設し、ジャワ-バリ系統管内への電力供給を目的とする。1号機(1000MW)にJICAが円借款を検討予定で、現在、インドネシア政府の正式要請待ち。

 

 バングラデシュのマタバリ石炭火力発電事業は、チッタゴン県マタバリ地区に、1200MW(600MWx2 基)のUSC及び関連施設(石炭輸入用港湾、送電線等)を設置し、電力供給を行う事業。JICAは フェーズ1事業への融資に続き、フェーズ2にも融資準備を進めている。

https://foejapan.org/aid/jbic02/indramayu/211124.html

https://www.marketforces.org.au/jica-faces-us-securities-complaint/

https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001679198/000119312521122542/d148810d424b5.htm