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カナダ、初のグリーン国債発行。50億カナダ㌦(約4800億円)。化石燃料や原発は資金使途対象外。「グレニアム(グリーン性のプレミアム)」は2bps(RIEF)

2022-03-25 17:37:22

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  カナダ政府は同国として初のグリーンボンド国債を50億カナダ㌦(約39億7000万米㌦=約4800億円)分、発行した。資金使途は、同国が設定する2050年ネットゼロ目標、2030年40 ~45%削減(2005年比)達成に貢献する事業に充当する。国が設定したグリーンボンドフレームワークでは、クリーン輸送、再生可能エネルギー等9分野を設定している。

 今週は、フィリピンも初のサステナビリティ国債(10億5000万㌦)を発行している。https://rief-jp.org/ct4/123658

 カナダのグリーン国債は期間7.5年。発行額5億カナダ㌦に対して、内外の投資家から、発行額の2.2倍に相当する11億カナダ㌦の応募があった。ロシアのウクライナ侵攻による影響が金融市場でも続く中、利回りは同国が発行するほぼ同じ期間の国債に対して、約2bpsのグレニアム(グリーン性のプレミアム)が付与された。

 カナダ財務省は「2030年の排出削減目標と、2050年のネットゼロ目標を達成するうえで、民間資本を活用することが重要。今回のグリーン国債発行はグリーンインフラから自然保護までの幅広い事業をスピードアップさせる新たな金融機会を作り出し、カナダ経済の成長と国全体の雇用創出につながる」と期待を示している。

 引き受け主幹事は、Bank of America Merrill Lynch、Bank of Montreal、Canaccord Genuity、Casgrain & Co、CIBC World Markets、Desjardins Capital Markets、HSBC,、Laurentian Bank Securities、RBC Capital Markets、ScotiaBank、TD Securities。グリーンボンドのストラクチャードアドバイザーはTD Securities とHSBCが務めた。グリーンボンドフレームワークに対しては、Sustainalyticsが国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)への適合を認めるセカンドオピニオンを付与した。

  カナダはタールサンド等の化石燃料産出国でもある。しかし、同国のグリーンボンドフレームワークでは、グリーンボンドの資金使途から化石燃料関連の掘削・生産・輸送等の事業を除外する「除外リスト」を作成している。除外対象は化石燃料事業のほか、原発も含めている。

 カナダ政府としてのグリーン国債発行は今回が初めてだが、これまでオンタリオ州、キュービック州がそれぞれ州債としてグリーンボンドを発行しているほか、カナダ企業の発行も続いている。今回の政府のグリーン国債発行に対しては、カナダ金融市場でのグリーンボンドのベンチマークになり、流動性の向上につながるとの期待がある。

 同フレームワークによる資金使途先は、①クリーン輸送②自然資源と土地利用③エネルギー効率化(省エネ)④陸上と海洋の生態系保護⑤再生可能エネルギー⑥気候変動の適応策⑦持続可能な水資源と排水管理⑧サーキュラーエコノミー適用製品、生産、技術、プロセス⑨汚染防止・抑制ー-の9分野を列記している。

 https://www.canada.ca/en/department-finance/news/2022/03/canada-issues-inaugural-green-bond.html

https://www.canada.ca/en/department-finance/programs/financial-sector-policy/securities/debt-program/canadas-green-bond-program.html

https://www.canada.ca/en/department-finance/programs/financial-sector-policy/securities/debt-program/canadas-green-bond-framework.html