HOME4.市場・運用 |日本経済新聞社、EU気候ベンチマーク基準に準拠した「日経平均気候変動1.5℃目標指数」を開発。30日から公表。日経平均構成銘柄225社から、電力、ガス、商社等21社を除外し構成(RIEF) |

日本経済新聞社、EU気候ベンチマーク基準に準拠した「日経平均気候変動1.5℃目標指数」を開発。30日から公表。日経平均構成銘柄225社から、電力、ガス、商社等21社を除外し構成(RIEF)

2022-05-16 18:43:28

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 日本経済新聞社は16日、EUがサステナブルファイナンス行動計画で策定した気候ベンチマークの一つの「パリ協定適合ベンチマーク(PAB)」に準拠して、日経平均株価から算出した「日経平均気候変動1.5℃目標指数」を30日から公表すると発表した。PABはEUの域内規則に基づくベンチマークだが、日経が採用することで、日本企業が発行する株式・債券を対象とする投信や資産運用にもEU基準でのベンチマーク化が広がる可能性がある。

 

 EUの「気候ベンチマーク規則(LCBR)」は、2019年12月に成立、2020年4月から適用されている。同法に基づき、気候変動の移行に関連するベンチマーク(EU CTB:EU Climate Transition Benchmarks)とパリ協定に関連するベンチマーク(EU PAB:EU Paris-aligned Benchmarks)の2つが公表されている。

 

 今回、日経はこのPABに準拠する指数を、指数開発等を手掛ける米ウィルシャー(Wilshire)と共同開発した。日経平均を構成する225の企業のうち、化石燃料関連の売上高比率が一定以上の企業など21社を除外して204銘柄で算出する。各社の構成比率(ウエイト)は温室効果ガス排出量に基づいて増減させて調整、PABが指数の要件とする指数全体のGHG排出量が毎年7%削減となるように設定する。

 

  PABでは、投資対象ユニバースに対して、GHG排出量の削減率は、少なくとも50%削減を要件としており、日経の新指数も、構成企業の数や比率を調整し、日経平均構成銘柄に比べて、GHG排出量の合計が半分になるように設定する。議論のある兵器事業、たばこ事業、OECD多国籍企業行動規範等に反する企業のほか、石炭関連事業の売上高1%以上、石油関連事業の売上高10%以上、天然ガス関連事業の売上高50%以上等も除外対象になる。

 

 除外された主な企業は、東京電力ホールディグス、中部電力、関西電力、東京ガス、大阪ガス、INPEX、ENEOS、神戸製鋼、出光興産、双日、伊藤忠、豊田通商、三井物産、住友商事、三菱商事、日本たばこ産業など。

 

 日経によると、新指数は当面、毎営業日の終値を公表。半年ごとに銘柄を見直す。単位は円で表示し、2020年10月30日時点の日経平均(2万2977円13銭)を基準値とする。米MSCIなどの指数算出会社大手も同規則に基づく指数開発を進めている。他国に先行して気候ベンチマーク基準を開発したEUの基準が、グローバル基準化する一例でもある。

 

 米ウィルシャーは、日経のグループ企業である英フィナンシャル・タイムズ(FT)と21年から指数事業で提携し、「FTウィルシャー」のブランドを共同展開している。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB133760T10C22A5000000/?type=my#AAAUAgAAMA