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専門商社の長瀬産業、同社初のサステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)100億円発行。商社として初めて2030年度のScope3削減の数値目標を設定。未達の場合は排出権購入(RIEF)

2022-06-23 00:44:25

nagasesangyoキャプチャ

 

 化成品・医薬品事業を中心とした専門商社の長瀬産業は、同社初のサステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)を発行した。発行額は100億円。資金使途は、2030年度での温室効果ガス(GHG)排出量のうちScope1と同2の排出量については、国の目標である46%削減とするほか、Scope3についても12.3%以上の削減を掲げている。Scope3削減の数値目標を設定したのは商社では初めてとみられる。

 

 ボンドの期間は10年。SLBの基準となる主要業績指標(KPIs)は同社グループ全体のGHG排出量を削減するとして、KPI-1でScope1と同2、KPI-2でScope3を設定した。それぞれのKPIsに基づくサステナビリティパフォーマンス目標(SPTs)としては、SPT-1が2030年度の46%削減(2013年度比)、SPT-2が同年度で12.3%減(2020年度比)と設定した。

 

 二つのSPTsのいずれかが判定日において未達成の場合、ボンドの償還までにSPTsの達成状況に応じた額の排出権を購入する。購入する予定の排出権は、国内のJ-クレジット、グリーン電力証書、非化石証書等をあげている。SPT-1が未達成の場合は、ボンド発行額の 0.10%相当額を、SPT-2が未達成の場合は、同じく0.05%相当額を購入する。両SPTsとも未達成の場合は合計 0.15%相当額を購入する。排出権購入が不可抗力でできない場合は、ボンドの償還までに、SPTsの達成状況に応じた額の寄付をNPO法人等に行うとしている。

 

 主幹事は野村證券、大和証券、みずほ証券の3金融機関で、ストラクチャリングエージェントは野村が務めた。セカンドオピニオンは格付投資情報センター(R&I)がICMAのサステナビリティ・リンク・ボンド原則(SLBP)への適合を付与した。

 

 長瀬産業は化学品では国内トップの専門商社。傘下にナガセケムテックスや林原等の競争力のある製造子会社を複数抱え、商社と製造業を両輪とする経営を展開している。2019年には食品素材を手掛ける米Prinovaを買収、生活関連事業のグローバル展開も推進している。

https://www.nagase.co.jp/assetfiles/tekijikaiji/20220603-1.pdf