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出光興産、初のトランジションボンド200億円発行へ。グリーンボンド方式で資金使途明示。自社の排出削減目標への貢献は示さず。絶対量の多いScope3排出量は目標から除外(RIEF)

2022-07-08 21:39:31

idemitsuキャプチャ

 

 出光興産は8日、同社として初のトランジションボンド(移行債)を発行すると発表した。発行するのは5年債と10年債でそれぞれ100億円の合計200億円。グリーンボンドのフレームワークに準拠し、製油所・工場などの事業所を再エネやアンモニア等の次世代エネルギーの供給基地へ転換する事業や、持続可能な航空燃料(SAF)等の製造事業等に充当する。ただ、2030年にCO2排出量を400万㌧(2017年比)削減するとする自社の中間目標にどれだけ貢献するか等の数値は公表していない。

 

 (写真、出光は水素ステーションの開発にも力をいれているが)

 

 同社によると、両債券とも払込期日が今月14日。利率は5年債が0.480%、10年債が0.879%。主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券と大和証券、みずほ証券の3金融機関。セカンドオピニオンはDNVビジネス・アシュアランス・ジャパンがICMAの気候トランジション・ファイナンスハンドブック(CTFH)等への準拠を付与した。

 

 資金使途については、同社が設定したグリーン/トランジションボンド・フレ ームワークで定める適格クライテリアを満たすプロジェク トとして、製油所・工場などの事業所を再エネやアン モニア、バイオ・合成燃料など次世代エネルギーの供給基地のCNX センター(Carbon Neutral Transformation : センター)に転換する構想の推進のほか、航空機用の持続可能燃料(SAF)の製造、石炭火力発電に対する低炭素ソリューションプロジェクトの提供等に充当するとしている。

 

 CNXセンター構想には、廃プラから化学品を製造するリサイクルチェーン構想やサーキュラービジネスの開発・推進に関するプロジェクト等も含まれる。石炭火力発電の低炭素化ソリューションビジネスには、米国等で生態系破壊の元凶として指摘されるブラックペレットの製造・販売・研究開発プロジェクト(専焼化を含めた混焼率の引き上げ)等も含めている。

 

 同社は2050年に自社操業に伴うCO2排出量(Scope1、同2)のネットゼロ、同30年のCO2削減(同)目標を2017年度比400万㌧とする目標を掲げている。同社のScope別のCO2排出量は、同1が1219万3000㌧、同2が82万9000㌧で合計1302万2000㌧、これに対して同3は1億818万7000㌧(同社サステナビリティレポート2021年より)と、圧倒的にScope3が多い。

 

 同社では「自社製品の消費段階等での排出量が圧倒的に多いことを認識している」としているが、今回のトランジションボンドの目標にはScope3の削減目標は盛り込まれていない。またトランジションボンドでの調達資金について、「調達資金を活用し、上記事業領域において具体的な施策を推進し、2030 年のビジョンを実現していく」とコメントしているが、具体的なCO2排出量の削減目標、さらにはScope3の削減への貢献等に触れないままで、ネットゼロへの「トランジション(移行)」のシナリオを描けるのか、疑問が残る。

 

 ネットゼロとつながったトランジションのプロセスを明確化する必要できないと、「トランジション・ウォッシュ債」に転じる可能性がある。

 https://sustainability.idemitsu.com/pdf/ja/idss_green-transition-bond_spo_2022.pdf

https://sustainability.idemitsu.com/pdf/ja/idss_green-transition-bond_2022.pdf