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NTT。初のドル建てグリーンボンド15億㌦(約2100億円)発行。調達資金は、5G投資や「IOWN」研究開発等に充当。発行後はシンガポール証取に上場(RIEF)

2022-07-21 18:30:38

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 NTTは21日、5Gや次世代通信網「IOWN(アイオン)」の研究開発等の資金調達のため、ドル建てのグリーンボンドを15億㌦(約2100億円)発行すると発表した。NTTがドル建てグリーンボンドを発行するのは初めて。同社は昨年、円建てとユーロ建てで合計約5000億円の同ボンドを発行しているが、今回は、投資家が限られる国内向けよりも、幅広いグローバル投資家からの調達を重視する形だ。

 発行は、米国内の1933年米国証券法に基づくルール144Aに従った適格機関投資家(Qualified Institutional Buyers, QIBs)かつ1940年米国投資会社法における適格購入者(Qualified Purchasers, QPs)を対象とした市場で募集可能な「グローバル債フォーマット」に基づいて発行する。NTTが同フォーマットに基づいてドル建てグリーンボンドを発行するのは初めて。

 発行はグループのNTTファイナンスを通じて行う。27日に発行する。ボンドは償還期限が2年、3年、5年の3本建て。利率はそれぞれ4.142%、4.239%、4.372%と設定した。ボンドはムーディーズから「A1」、S&Pグローバルから「シングルA」の格付けを取得。発行されたボンドは東京証券取引所ではなく、シンガポール証券取引所に上場される。

 主幹事は米モルガン・スタンレー、JPモルガンセキュリティーズ、BNPパリバ等8社。日本勢では海外投資家を顧客として抱える野村セキュリティーズ・インターナショナル、米国みずほ証券が参加する。セカンドオピニオンはSustainalyticsがICMAのグリーンボンド原則(GBP)への適合を付与した。

 資金使途先としては、高速・大容量の移動通信システムの「5G」関連投資のほか、光ファイバーを使った家庭向け通信サービスの「FTTH」関連投資、通信や情報処理に使う電力を大幅に減らすNTT独自の次世代通信網「IOWN」構想の実現に向けた研究開発、再生可能エネルギー事業等に充当する。

 現在のNTTグループ全体の電力使用量は日本の産業全体の1%に相当する。同社ではこの電力使用量の削減が、国全体のカーボンニュートラルにも大きく貢献するとして、年間2兆円規模のエネルギー削減投資を想定している。その資金調達として年間5000億円ほどの調達を目指すが、国内のグリーンボンド市場は発展途上であることから、昨年以来、海外市場での発行に力を入れている。昨年11月にはユーロ市場で初の外貨建てグリーンボンドを15億ユーロ(約2000億円)分、発行している。https://rief-jp.org/ct4/119934

 NTTでは、発行条件設定で海外の多くの投資家から好反応を得たとしており、「国際資本市場においても、世界最大クラスのグリーンボンド発行会社であるNTTグループの環境への取り組みに対して共感を得たと理解している」とコメントしている。

 https://www.ntt-finance.co.jp/news/220721.html