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インドネシア、初の円建てブルー国債(サムライ・ブルーボンド)発行。207億円分。国連の持続可能な開発目標(SDGs)で定める海洋資源保護事業等に充当(RIEF)

2023-06-01 23:26:32

IndonesiaMOFキャプチャ

 

  インドネシアは同国初の円建てのブルー国債(サムライブルーボンド)を207億円(1500万㌦)発行した。サムライ国債でのブルーボンド発行も初めて。調達資金の使途は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に定める海洋資源保護(第14目標)等に関連する適格事業への同国2023年度予算での支出に充当する。対象事業は同国のSDGsフレームワークに基づく「適格支出」として評価される事業に限定する。

 

 (写真は、インドネシアの財務省の建物)

 

 ボンドはすでに5月26日に発行されている。今回、インドネシアはサムライ国債を4種類、総額1048億円分発行した。そのうち7年債(147億円)と10年債(60億円)をブルーボンドとして、同国の海洋事業支援予算と連動させた。クーポンレートは、7年債が1.2%、10年債が1.43%。

 

 同国政府は、2021年にSDGsに関連する事業を促進するための資金調達フレームワークとして「SDGs Government Securities Framework (SDGs フレームワーク)」を公表している。同フレームワークは、ノルウェーオンCICEROと独立シンクタンクのIISDからセカンドオピニオンを受けている。今回のサムライブルーボンドは同フレームワークに基づき、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド(GBP)原則に準拠すると評価されている。

 

 サムライ債の主幹事は、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、SMBC日興証券の4金融機関。

 

 インドネシア財務省は、サムライブルー国債に対する日本投資家の反応が非常に高く、成功裡に目標を達成できたと評価している。また調達資金を充当する海洋・自然資源担当のVivi Yulaswati氏は「インドネシアは、今回のサムライブルー国債の発行で、SDGsの達成を念頭に置きながら、経済とエコロジーの間の相乗的なバランスと、海洋資源の持続可能な使用の実行というブルーファイナンスへのコミットを示した」と位置付けている。

 

 サムライESG債の発行はこのところ、着実に増えている。5月には、ポーランドの公的金融機関の「Bank Gospodarstwa Krajowego (BGK)」が同行として初の円建て私募債を発行したが、その資金使途はロシアのウクライナ侵攻で、ポーランドに避難している多くのウクライナ国民支援のためで、戦争避難民を支える人道ボンド(Humanitarian)、あるいはソーシャルボンドといえる。https://rief-jp.org/ct6/135745?ctid=

 

 昨年は、ハンガリー、メキシコ、フィリピン等が相次いでサムライグリーン国債やサムライサステナビリティ国債を発行している。欧米市場に比べて日本の債券市場では相対的に低コストで調達できるほか、日本の機関投資家等はESG国債に対する投資意欲が堅調であることも各国の発行が相次ぐ背景にある。https://rief-jp.org/ct12/134167?ctid=

 

 インドネシア自体もESG国債の発行に積極的で、2018年に最初のグリーン国債を発行して以来、これまでのグリーン、サステナビリティ等のESG国債の発行総額は71億㌦(約9940億円)と、1兆円近くになっている。アジア市場では香港に次ぐESG国債の発行額だ。香港のグリーン国債の発行額は150億㌦(約2兆1000億円)を超えている。

https://www.djppr.kemenkeu.go.id/en/indonesiasuccessfullyissuesjpy104.8billionsamuraibondandinauguralbluebonds