メガソーラーの太陽光発電サイトの敷地を草地化して炭素を吸収・固定。土砂流出も防止。自主的カーボンクレジット(VCM)認証。日本発のVCMとして全国で展開へ(RIEF)
2024-09-01 21:21:53
(写真は、岡山赤盤市のメガソーラーサイトで実施した「岡山赤盤草地プロジェクト」の様子=NCCCサイトから)
太陽光発電のメガソーラーサイトの敷地を草地化することで固定化される炭素を吸収源として認証する自主的カーボンクレジット(VCM)が日本で誕生した。一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC)が、土壌有機炭素の蓄積による炭素除去量を算出し、自然由来の炭素除去(土壌炭素)に基づいて認証を行った。サイトからの土砂流出防止も強化できる。NCCCは、「今回のVCM認定は、NCCC独自のカーボンクレジット認証規約に基づく。海外に比べて遅れている日本のVCM取引に新たなスタンダードを提示する」と指摘している。
クレジットを創出した事業は、岡山県赤磐市で出光興産の子会社が開発した「SF赤磐太陽光発電所」のソラーパネル周辺の敷地約50haを草地して、土壌による炭素の吸収、固定をする取り組みだ。草地化に際しては、土木事業等を展開する大分県宇佐市の辻田建機が開発した「ユニティーグリーン工法」を活用する。同手法は侵食防止緑化工法で、安定的かつ効果的な緑化を促進させ、自然資本値を確実に向上させることができるという。
NCCCは草地化を通じた土壌有機炭素の蓄積による炭素除去量を算出し、自然由来の炭素除去(土壌炭素)に基づく認証を行った。認証期間は2021年11月25日~2028年11月16日。クレジット量は、認証予定量(申請者への割当分)がCO2で704㌧、バッファープール割当予定量が73㌧で合計777㌧となる予定。
NCCCは自然資本の経済価値化の取り組みを進めており、今回の炭素除去量の認定は同団体にとっての第一号クレジットとなる。認定はNCCC独自の「NCCCカーボンスタンダード(カーボンクレジット認証規約)」に基づく。
同団体では、「創出されるクレジットは、カーボン価値だけでなく、生態系保全や土壌の保全による土砂災害に対する防災・減災効果など、自然に根差した社会課題解決策(Nature Based Solutions、NbS)として、複数の社会課題に対する効果(トレードオン)を期待できる価値の高いクレジットになる」と説明している。
NCCCは今後、今回クレジットの認証に適用した認証規約を元に、全国に支部を展開しながら地域のステークホルダーとともにVCMの認証事業を拡大していくとしている。事業の展開に際しては、プロジェクトを実施する自治体や地域企業を含む地域社会と連携し、地域経済の発展や地方創生、第一次産業の振興などの社会課題に貢献することを目指すとしている。