HOME |JERA、知多火力7、8号機を東邦ガスと共同建設へ。5月の同社社長の「建設中止示唆」発言は、2050年以降もLNG火力の「ベースロード電源化」を求める「ブラフ」だったか(?)(RIEF) |

JERA、知多火力7、8号機を東邦ガスと共同建設へ。5月の同社社長の「建設中止示唆」発言は、2050年以降もLNG火力の「ベースロード電源化」を求める「ブラフ」だったか(?)(RIEF)

2024-12-24 01:00:32

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写真は、JERAの知多火力7、8号機の完成予想図=JERAサイトから)

 

 JERAは23日、建設判断を保留していた愛知県・知多火力発電所の7、8号機の建設計画を、東邦ガスとの共同開発として進めると発表した。JERAは今年5月、両機の建設は将来の燃料価格の変動等から投資収益の回収を見込めない等として、建設を中止し、長期脱炭素電源オークションで確保していた発電枠も「返上」する構えを示していた。今回、東邦ガスと共同開発の方針を打ち出したのは、先に経済産業省・資源エネルギー庁が示した第七次エネルギー基本計画原案が、「トランジション手段としてのLNG火力の確保を燃料の確保と併せて進める」と明記したことで、将来、両機の建設・操業の中断を迫られる移行リスクを封じることができると判断したためとみられる。

 

 愛知県の知多火力発電7、8号機は、最新の高効率ガスコンバインドサイクル方式のガス火力で発電端熱効率は約64%。同社は「世界最高水準の発電効率を誇る最新鋭の火力発電所で、CO2排出量の削減に努めるとともに環境負荷の低減も図る」とし、将来のベースロード電源と位置づけている。経産省が将来の発電容量確保のために始めた「長期脱炭素電源オークション」での発電枠もすでに落札・確保している。

 

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 ところが、メディアの報道によると、今年5月16日に同社の奥田久栄社長が「最大の問題は、LNG火力を新設しても、それがベース電源として回らないことだ」と述べ、経産省に制度の見直しを求める意向を示唆したとされる。同社の関係者の説明では、将来の燃料価格(LNG)の変動等から投資収益の回収が見込めないとし、「オークション」で確保した発電枠の返上も辞さない構えだとした。https://rief-jp.org/ct5/145457?ctid=

 

 すでに落札した発電枠を返上すると、「市場退出ペナルティ」を科される。そうしたコストを払ってでも、建設断念の選択肢も考慮せざるを得ない、とする社長発言が出た背景には、当時、作業中のエネルギー基本計画においてLNG火力をどう扱うかで、経産省とJERA等との交渉が難航していた可能性がある。国全体の排出削減のために再エネ発電を重視せざるを得ない一方で、原発「復権」を政策の最優先とする経産省に対し、JERA等は、高効率とされる火力発電を将来的にどう維持するのかという点での確約を求め続けたとみられる。

 

 知多火力の7、8号機を建設するJERAと東邦ガスの合同会社の出資比率は、JERAが75%、東邦ガス25%とする。両火力はともに2029年度中に稼働の予定。2050年ネットゼロまでフル稼働したとしても、ネットゼロ実現の50年に火力全廃の政策方針が打ち出されるとすると、実質約20年の稼働期間でしかない。JERAの「将来のベースロード電源」としての要望は、50年までの「トランジション(移行)電力」としてよりも、むしろ「50年以降のベースロード電源」としての操業の確約だったと思われる。

 

 5月の「奥田発言」の段階では、経産省もそうした点での確約は示していなかったのかもしれない。しかし、先に公表された基本計画の原案では、「長期脱炭素電源オークションを通じて、将来的な脱炭素化を前提としたLNG専焼火力の新設・リプレースを促進している。今後もさらに火力の供給力を確保する観点から、需給バランスの将来動向も見ながら、LNG火力の将来的な脱炭素化を前提とした新設・リプレースを一層促進する」との文言が入った。https://rief-jp.org/ct5/151805?ctid=72

 

 また、燃料となるLNGの将来的な確保についても、「電力需給のひっ迫や、国際情勢の急変に伴う燃料スポット価格の急騰等への備えとして、安定的な電力供給が可能となる量のLNG長期契約の確保を促進するための措置の検討など、平時と緊急時それぞれの燃料の安定的な確保の対応の在り方についてさらに検討を進める」との文言も入った。

 

 JERAの懸念を踏まえ、「燃料価格の変動に備える政策措置」を講じ、投資収益回収を確実にする公的措置を「約束」するかのように読める。LNG火力を2050年以降も「ベースロード電源」として位置づけ、その燃料確保と価格維持のために政策措置導入の「公約」を盛り込んだ形だ。https://rief-jp.org/ct10/149729?ctid=72

 

 ただ、LNG火力を、50年までのトランジションだけでなく、「50年越え」のベースロード電源として活用できるかどうかは、JERAと経産省の駆け引きだけで決められるべきものではないはずだ。温暖化の進行が加速すると、石炭火力だけでなく、化石燃料であるLNG(天然ガス)火力の継続についても再検討を迫られるのは必至だ。現に国際エネルギー機関(IEA)は、石炭火力発電だけでなく、ガス・LNG火力発電についても新設は断念すべきとの報告を公表している。

 

 ベースロード電源の確保という点では、既存電力各社が求める原発の再稼働・新設による原発復権も、同様のベースロード電源確保を有力な理由の一つとしている。また再エネの安定化という点では、伝統的な揚水発電も選択肢に入る。河川のダム化問題とは別に、海水をくみ上げる海洋揚水発電手法についても日本の電力会社は技術と経験を保有している。さらには、再エネ電力を蓄電設備と連動させて系統の軸に据えることで、ベースロード電源の容量軽減化を進めることもできるはずだ。

 

 本来、エネルギー基本計画では、そうした送配電システム全体を踏まえた蓄電電力の確保、ベースロード電源の中長期的な確保と、同電源の多様化等についても方向性を示すべきものと思われる。原案から正案に移行する間に、JERAの火力発電の扱いだけでなく、わが国の電力網の将来的な「全体解」につながるような、基本計画を国民に示してもらいたい。

https://www.jera.co.jp/news/information/20241223_2082

https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/067/067_006.pdf