再エネ電力と電気自動車(EV)を活用する「モビリティ蓄電インフラ」を全国の過疎地に展開するコンソーシアム発足。再エネ売電収入で交通手段を確保。京都大、日本総研等が連携(RIEF)
2025-02-25 20:24:57
(写真は、コンソーシアム立ち上げの記者会見の模様=話をしているのは京大成長戦略本部副部長の木村俊作氏)
過疎地での高齢者や住民の交通手段を確保するために、再生可能エネルギー発電、電気自動車(EV)、蓄電システムを組み合わせて「モビリティ蓄電インフラ」を構築するコンソーシアムが25日、立ち上がった。京都大学と同大の事業化会社、シンクタンクの日本総合研究所の3者が連携し、再エネ発電による売電収入で地域のコミュニティバス等の交通・物流サービスを維持し、交通・物流サービスと電力事業のネットワークをつなぎ合わせるプラットフォームを実現するとしている。自治体との連携第一弾として、鳥取県佐治町で同事業の実証化の検討・構築を進めるとしている。
コンソーシアムの名前は「ReCIDA(Renewing Community Infrastructure in Depopulated Areas)」。全国に広がる過疎地では、住民の交通手段となるバスや電車などの交通手段が、乗客減や運転手不足で減少・廃止等が進み、高齢者の移動手段の確保等が深刻な問題になっている。特に過疎化が顕著な地域では、自治体等が過疎地向けのコミュニティバスの運行等を手掛けるところもあるが、同交通手段の費用負担への対応に苦慮している自治体も少なくない。
コンソーシアムはこうした現状を「打破」するため、過疎地での交通・物流サービスにかかる運行費用等の経済的負担を抑制する一方で、地域価値の最大化を目指す仕組みとして、今回の「モビリティ蓄電インフラ」の構築を提案している。今後、全国の自治体と連携して、過疎地の活性化に資する活動の展開を進めていくとしている。
「モビリティ蓄電インフラ」は、地域の自然資源を活用した再エネ発電事業を進めるとともに、電気自動車(EV)の蓄電機能を活用して、再エネ発電電力をEV電池に蓄電する仕組みとする。この蓄電電力を、地域で運行するコミュニティバスや乗り合いバス等の燃料費削減に使うほか、EV電池のコスト削減等にも充当することで、過疎地での交通・物流インフラの全体的なコスト低減に資するとしている。
活用する再エネ事業は、地域の特性に応じて最適な再エネ事業を選出する。コンソーシアムの第一弾として実証事業を行う鳥取県佐治町の場合は、水力発電事業を中心に展開する。地域によっては、太陽光発電や風力発電、バイオマス発電等、あるいはそれらの組合せ等を弾力的に選択する考えだ。
また、EV電池の充放電設備や蓄電池ステーション機能などは、地域住民等が交流する駅や停留所などに集約し、それらの駅などを交通・物流サービスと電力事業のネットワークをつなぎ合わせるプラットフォーム「交流結節点」として位置づける。整備する地域の交通手段は、幹線交通では定時運行・定路線のコミュニティバス等を主要輸送手段とし、さらに奥地の住民等のためには、住民同士の車をシェアする「コミュニティ・カーシェアリング」等の仕組みを補完交通として活用するとしている。
運転手不足やシステム管理面等での人的コストを抑制するためには、都市部等の住民による「副業」人材を活用する多能工型の人材リソースの確保なども想定しているという。取り組みの軸になる交通・物流サービスと電力事業の評価には、事業の収益性評価のほか、地域にもたらす地域価値創出のメリットなども評価するSROI(社会的投資収益率)の手法を開発し、新たな事業評価を行う。
これらの取り組みによって過疎地域で創出が期待される地域価値としては、自治体の公共交通の補助金削減額、停電時の経済損失削減額、地域産業への経済波及効果、地域での雇用創出、医療・介護・買い物等の生活支援サービスへのアクセス維持による定住率の向上などが考えられるとしている。
自治体との連携第一弾として実証事業を展開する鳥取県佐治町は、高齢化率50%以上で、人口減少の結果、スーパーマーケットやガソリンスタンド等が地域から撤退し、公共交通も減便を余儀なくされ、地域住民の生活利便性は低下し続けている。また台風等が発生した際に停電になると復旧に時間がかかる等の課題も長年抱えている。
急峻なV字型の佐治川沿いの同地では、既設の県有水力発電所があるほか、渓谷の河川を利用した中小水力発電を展開することで、再エネ電力を創出できる。これらの電力を売電して収益をあげるとともに、EVバッテリーに充電することで、地域の電源として安定的に利活用できる。さらに鳥取市では、佐治川でつながる上流の佐治町エリアと下流の都市部の若葉台エリアを、佐治町で開発する水力発電電力で連携させて、「ローカル版地域循環共生圏」を構築することを目指すとしている。
コンソーシアムでは、現在、佐治町以外にも、北海道などの5カ所前後の自治体との間で、実証実験を行う話を進めているという。これらの実証事業は、早ければ26年度にも事業化に踏み出す見通しとしている。
コンソーシアムには、推進する3事業体のほか、自治体としては、鳥取市、甲斐市等が参加するほか、エナリス、ENEOSリニューアブル・エナジー、沖電気工業、光陽エンジニアリング、Goal connect、大和自動車交通、中之条パワー、NExT-e Solutions、FOMM、横河ソリューションサービス、REXEV等の企業も参加する。
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=110216

































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