年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)。ESGや社会・環境的インパクトを投資対象として明記する「サステナビリティ投資方針」を初めて制定。ESG投資を改めて位置づけ(RIEF)
2025-04-01 17:40:47
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、ESG等のサステナビリティを考慮した投資での基本的な考え方や目的等を示す「サステナビリティ投資方針」を公表した。公的年金積立金の運用を担当するGPIFはこれまでもESG等を考慮した投資を実施してきたが、同投資の基本姿勢を整理して示すのは初めて。同方針では「サステナビリティ投資」について、ESG やインパクトを考慮した投資等を包含するものと定義し、社会・環境的効果(インパクト)も投資対象として「ポートフォリオ全体の長期的なパフォーマンス向上という目的を実現するための重要な手段」と位置付けた。トランプ政権下での米国では反ESGキャンペーンが続いているが、GPIFはESGを踏まえたサステナビリティ投資への考え方を維持する格好だ。
GPIFは、国民の公的年金積立金(2024年第3四半期末現在、258兆6,936億円)の運用を担っている。これらの積立金は、将来の現役世代の保険料負担を軽減するために使われる。このため運用に際しては、長期にわたって安定した収益を獲得するために、投資先企業の価値が長期的に高まり、資本市場及び経済全体が持続的・安定的に成長することが重要、との考え方に基づいて、これまでもESGを考慮した投資やスチュワードシップ活動を展開してきた。
そうした活動方針については、これまでは日本版スチュワードシップ・コード受け入れ(2014年)や、国連支援の責任投資原則(PRI)署名(2015年)などを踏まえ、2023年12月の政府の「資産運用立国実現プラン」(2023年12月策定)に関連して制定された「アセットオーナー・プリンシプル」等に沿って、サステナビリティ投資に取り組んできたとしている。
ただ、GPIF自体の「サステナブル投資方針」はこれまで示しておらず、今回、改めて整備した。同機関を所管する厚生労働省が指示する第5期中期目標(2025~2029年度)において、同方針の策定や、インパクトを考慮した投資の検討が新たに求められたことに対処する意味もあるとしている。

基本方針では、GPIF のように投資額が大きく、世界の資本市場全体に幅広く分散して運用する「ユニバーサル・オーナー」としての投資家の役割と、運用する年金積立金は、将来の現役世代の保険料負担の軽減に使われるものというGPIFの二つの特性を踏まえ、サステナビリティに関する問題による資本市場への負の影響が低減することは、GPIFにとって投資リターンを長期で追求するうえでは不可欠と位置付けている。
「サステナビリティ投資の目的」としては、GPIFが被保険者の利益のために長期的な収益を確保する観点から、財務的な要素に加えて、非財務的要素であるESGや、社会・環境的効果(インパクト)を考慮した投資を推進する必要性をあげている。そのうえで同投資については、「サステナビリティに関するリスクの低減や市場の持続可能性の向上」と「市場平均収益率の確保」の両立を図ることで、GPIFのポートフォリオ全体の長期的なパフォーマンス向上に貢献することを目指すとしている。
投資視点にESGとインパクトを明記したが、インパクトについては「『専ら被保険者の利益のため』という目的を離れて、インパクトの創出そのものを目的にした投資は行わない」とした。
具体的なサステナビリティを高めるための投資手法については、A) ESGインテグレーション B) エンゲージメント・議決権行使 C) ESG指数投資・ESGアクティブファンド投資 D) インパクトを考慮した投資 E) サステナビリティに関するリスク分析(気候変動等) F) 関係団体等との協働等の6項目を例示し、これらの取り組み等の実施、組み合わせをあげた。
サステナビリティ投資で期待する「サステナビリティに関するリスク低減と市場の持続可能性向上」の効果については、サステナビリティに関する様々なKPIの計測、企業向けのアンケートやヒアリング、サステナビリティ投資による企業価値や投資収益の向上に関する因果分析など多面的な検証が必要としている。
https://www.gpif.go.jp/esg-stw/26487392gpif/sustainability_investment_policy.pdf

































Research Institute for Environmental Finance