HOME9.中国&アジア |タイが排出権取引制度導入へ。省エネと低炭素都市づくりで、クレジット創出。2020年ころ導入か。パリ協定の目標達成目指す(RIEF) |

タイが排出権取引制度導入へ。省エネと低炭素都市づくりで、クレジット創出。2020年ころ導入か。パリ協定の目標達成目指す(RIEF)

2016-05-09 11:40:03

Thaiキャプチャ

 

 タイがパリ協定で約束した自国の温室効果ガス削減目標を実現するため、排出権取引制度(ETS)を導入する準備に入った。

 

 同国はこのほど、世界銀行が途上国の温室効果ガス対策促進のために用意したPartnership for Market Readiness(PMR)プログラム から300万㌦の贈与を受けた。ETSの経済的手法を使って、合理的に排出量を削減する考えだ。

 

 タイ温室効果ガス管理機構(TGO)の代表、Prasertsuk Chamornmarn氏は「今回の世銀の支援は、タイ国内でカーボンに価格付け制度を導入する重要なプロセスとなる」と評価している。

 

 タイは経済発展が続いている。このため、温室効果ガス排出抑制対策をとらないBAUシナリオでは、2030年の国全体のCO2排出量は5億5500万㌧と、2000年の2億3000万㌧の2.4倍にまで増大する見通し。

 

 同国はパリ協定で、BAUシナリオよりも、2020年には15%削減(2005年比)、2030年には25%削減(2005年比)する国別目標を提示した。同目標の達成のためには、国際的な金融支援を条件としている。世銀の支援はそれに該当する。

 

 タイは世銀の300万㌦の資金を元に、国内で排出権取引制度を構築するための法的枠組みを整備するとしている。実際にETS制度が稼働する時期については明示していないが、早くて2020年ごろとみられている。

 

 また世銀資金を活用して二つの新たな市場メカニズム制度の導入も検討しているという。一つは省エネ認定制度(EPC)であり、もう一つは低カーボン都市プログラム(LCC)だ。

 

 EPC制度では、エネルギー多消費産業や商業ビルはエネルギー消費目標を設定され、目標の達成を義務付けられる。GDP単位当たりのエネルギー消費量の削減を実現するためだ。

 

 EPCは2017-2019年に実験的に実施し、その成果を国全体の排出権取引制度に組み込む計画だ。

 

 一方のLCCでは、都市や地方、コミュニティレベルでの温室効果ガス削減のための各種イニシアティブを奨励する。当初は、自発的なカーボン市場でのオフセットクレジットを活用し、活動が広がった段階で、ETS制度でも使えるようにするという。LCCは来年から稼働する見通し。

 

 世銀のPMRプログラムには現在、中国、ブラジル、インド、メキシコなど17か国が参加している。

 

https://www.thepmr.org/