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日立グループ 2050年度までの環境長期目標設定。温室効果ガス排出量は2050年度80%(2010年度比)削減を宣言。水・資源利用効率も50%改善(RIEF)

2016-09-05 18:42:53

hitachiキャプチャ

 

 日立製作所は5日、2050年度までを見据えた環境長期目標として「日立環境イノベーション2050」を公表した。日立のバリューチェーンを通じたCO2排出量を2050年度までに80%削減(2010年度比)するほか、水・資源利用効率を同じく50%改善し、自然資本への負荷を最小化することなどを盛り込んだ。

 

 温室効果ガス削減の長期目標となる2050年80%削減は、閣議決定した日本政府の地球温暖化対策にも盛り込まれている。ただ、経団連をはじめ、経済界の中には、依然、2050年目標を明確にすることに難色を示す向きもある。しかし今回、日立が80%を目標に据えたことは、慎重だった日本の産業界の対応にも影響を与えそうだ。

 

 日立の判断は、昨年12月に国際合意したパリ協定について、現在、中国で開かれている主要国・地域(G20)首脳会合で、米中が批准を決め、協定の年内批准の公算が高まった環境を受けたものと見られる。日立の荒木由季子CSR・環境戦略本部長は「(パリ協定を決めた)COP21が長期目標策定の契機になった」と話している。

 

  パリ協定を受けて、グローバルに低炭素化への流れが強まるとみられることから、日立もグローバル市場を睨んで、「環境に優しい」という従来の受け身型の経営姿勢でなく、「環境に強い」という積極的な企業ビジョンを打ち出す必要性を重視した経営判断とみられる。

 

 日立の長期目標は「環境ビジョン」として、「ステークホルダーとの協創による社会イノベーション事業を通じて、環境課題を解決し、生活の質の向上と持続可能な社会の両立を実現する」と宣言している。こうしたビジョンの下に、グローバルレベルで「低炭素社会」「高度循環社会」「自然共生社会」という3つの次世代社会の構築を目指している。

 

 このうち「低炭素社会の実現」では、バリューチェーンを通じたCO2排出量の削減を、2030年度までに50%削減、50年度までに80%削減と位置づけた。そのための取り組みとして、製品・ソリューションの使用段階での排出削減を目指す。

 

  日立が15年度に排出したCO2総量は2億7000万㌧。このうち94.6%が製品・ソリューションの使用段階で発生したという。そこで、使用段階での排出を削減するために4つの方策を定めた。

 

 ①事業構造を低炭素化へ移行②環境負荷の削減に寄与する革新的デバイス、材料の開発③超高効率化により省エネを実現する製品や低炭素エネルギーの開発・普及④広域、複合的にシステム間で連携協調することで、さらなる省エネを実現する社会システムソリューションの普及ーーなどである。

 

 次の「高度循環社会」の実現では、水・資源循環型社会をつくるために、日立グループ内での水・資源利用効率を2050年度までに50 %改善する目標を立てた。その実現のためには、質の高い造水、浄水、配水、下水に至る一連の水処理を進化させ、循環利用のソリューションを提供するとしている。

 

 そのための方策は①長寿命・省資源のモノづくりや事業のサービス化、シェアド化により、資源の効率的利用と廃棄物量の削減を進める②製品回収・リサイクルの徹底で資源の循環的利用を推進③地域の水リスクに応じて、生産工程における水利用量を削減、排水浄化・再利用を強化するーーなど。

 

 最後の「自然共生社会」の実現では、自然資本への影響を最小化することを掲げた。バリューチェーンの各ステージで、生態系に与える影響を評価し、負荷を最小限にするための取り組みを推進するという。大気や水の浄化システムや、自然モニタリングシステムなど、製品・サービスの提供を通じて、生態系を保全、配慮する調達活動を展開する。また工場の敷地内での希少生物種への配慮や、排水・排気の量、質、温度などの管理を通じて、工場やオフィスの環境負荷を最小化するとしている。

 

http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2016/09/0905.html