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COP22閉幕。トランプ次期大統領の「影」が覆う。温暖化加速による海面上昇に直面しているフィジーなど太平洋の島国の代表が、「トランプ氏を招待し、現実を見てもらいたい」と提案(RIEF)

2016-11-20 01:47:28

COP22キャプチャ

 

 マラケシュでの国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)は18日、閉幕した。パリ協定発効を踏まえ、温暖化対策推進の場になるはずだったが、会議全体は、懐疑派のトランプ次期米大統領の「影」で覆われた。閉幕直前、温暖化による海面上昇に直面するフィジーの首相が、「トランプ氏を招待し、現実を見てもらいたい」と、呼びかけたのが印象的だった。

 

 閉幕日の18日夕方。太平洋に浮かぶ島国、フィジーの首相を務めるFrank Bainimarama氏が、トランプ氏への呼びかけを行った。「トランプ氏は、人類の活動が温暖化問題を引き起こしたことを『でっちあげ(hoax)』と言ったが、私は彼にアピールしたい。ぜひ、わが国に来て、温暖化問題の現状を見てほしい。そして米大統領に選ばれたリーダーシップを発揮してほしい」

 

フィジー首相のFrank Bainimarama氏
フィジー首相のFrank Bainimarama氏

 

 Bainimarama氏の米国へのアピールは、日本人の耳には少し、痛いものでもあった。彼は「米国の人々に言いたい。米国人は第二次大戦の際、われわれの土地に来て、救ってくれた。今、またわれわれを救ってほしい」と付け加えたからだ。

 

 同氏の発言に対しては、米国代表を含む会議に出席した全員から拍手が響き渡った。日本の代表団も拍手したのだろう。

 

 フィジーは2017年にドイツで開く温暖化対策会議において議長役を務める立場にある。その会議に、パリ協定からの離脱を口にしたトランプ氏が率いる米代表が出席するかどうか。だから、トランプ氏を事前に自国に招きたいと本気で提案したようだ。

 

  Bainimarama氏の呼びかけに先立って、同日の午後の初めには、同じように海面上昇で国そのものが存亡の危機に瀕しているマーシャル諸島共和国の大統領補佐官であるMattlan Zackhras氏も、同様のトランプ氏への呼びかけを行っている。

 

 ビキニ環礁を抱えるマーシャル諸島は、米国の核実験による被害補償金に経済的に長い間依存してきた。それは米国の気まぐれに翻弄されてきた結果でもあるが。Zackhras氏は、 彼らの家を守るには2℃の気温上昇よりも、1.5℃未満の上昇に抑えないと守れない、と強調した。

http://unfccc.int/2860.php