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東京都 2017年度予算案にグリーンボンド200億円分発行盛り込む。オリンピック競技施設の環境対策費や都有施設のLED化促進に充当(RIEF)

2017-01-25 17:54:45

koikeキャプチャ

 

 東京都は25日、2017年度予算案を公表した。その中で、主要施策として、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技施設の環境対策等の資金調達のため、グリーンボンドを200億円発行することを盛り込んだ。都は、小池百合子知事の主導で、昨年末に、個人向けにグリーンボンドのトライアル版を発行したが、本格的にグリーンボンドを発行することになる。

 

 都の発表によると、新たなボンドは「東京グリーンボンド」として発行する。17年度予算案ではまず200億円だが、毎年一定分の発行を継続し、市場に流動性を供給する考え。

 

 ボンドで調達した資金使途としては6分野を列挙した。①2020年のンピック・パラリンピック大会を契機とした環境対策(競技の環境対策、都道の社熱性・保水性舗装)②スマートエネルギー都市づくり(都有施設・道路の照明のLED化、都有施設のゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化推進等③クール・クリーンで快適な都市づくり(公園の整備、合流式下水道の改善、水再生センターでの高度処理)④気候変動の影響への適応(中小河川の整備、高潮防御施設の整備)などの事業、となっている。

 

 都が昨年末に発行したトライアル版「東京環境サポート債」は、オーストラリアドル建てで、償還期間5年。調達資金は、都立図書館や学校などの照明のLED化のほか、太陽光発電の増設などに充て、図書館や学校の消費電力を約4割減らすほか、一般家庭80軒分の電力を賄う効果をアピールした。http://rief-jp.org/ct4/65201

 

 小池知事は環境大臣も歴任した「環境のプロ」だけに、トライアル版は「知事主導」で個人の投資家向けに限定した形で急遽、発行された。発行と同時に売り切れるほどの人気だった。今回、2017年度予算案に盛り込まれたグリーンボンドは、一般のグリーンボンドと同じ条件で、個人投資家よりもむしろ機関投資家の関心が高い。

 

 また、都のグリーンボンド第一号の発行をめぐって、金融機関による引き受け主幹事や、グリーンボンドの「グリーン度」を評価する第三者審査等の受注競争も激化しそうだ。

 

 都は「都民や企業の投資を通じた後押しによって、『スマートシティ』の実現を目指す都の環境施策を強力に推進するとともに、国内資金が国内の環境対策に活用される流れを創出していく」と、自治体として初のグリーンボンド発行の狙いを説明している。

 

 資金使途先となる東京オリンピック・パラリンピック関連事業としては、ヒートアイランド現象に伴う暑熱対応として、都内2ヶ所で「暑さ対策推進事業」を実施するほか、沿道環境に配慮した路面の遮熱性舗装等を実施するとしている。また温暖化によって多発する集中豪雨対応で、中小河川の整備事業として広域調整池などの適応事業を実施する。また環境に優しい都営バスの導入にも活用する。

 

 自治体等の公的機関が発行するグリーンボンドは信用力が高いことから、機関投資家の購買意欲が強い。欧米では、自治体が市街地のグリーン化やエネルギー効率の改善等の事業のためにグリーンボンドを発行する事例が相次いでいる。日本でも東京都が先鞭をつける形で、各自治体のグリーンボンド発行が相次ぐことが期待される。

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/01/25/documents/09_06.pdf